明治以降、東京のまちは、銀座の大火、関東大震災、太平洋戦争をはじめ、幾多の災害に遭遇しています。防火・耐震をすすめる時代の要請に応え、木造、煉瓦造り、モルタル・銅板貼り、鉄筋・鉄骨コンクリートなど、さまざまな構造物が建築されてきました。
この本で紹介するのは、大火を経て、震災、戦災を乗り越えた建築物、外観を保存し再生させた建築物、またギリシャ・ローマの建築様式からポスト・モダン建築まで各種の様式を採用した建築物、建築当時は最先端の設計・工法を採用した往時の高さが日本一の超高層ビルなどがあります。
東京はまさに建物のミュージアムであると言えると思います。
都内に点在する近代建築を線で結ぶのが、スローでエコな自転車です。コースは最短が3キロほどですので(最長は約30キロ)、もちろん徒歩で見てまわることもできます。また、コース設定に縛られることなく、マップを参考にコース設定をしていただくことも著者は薦めています。
通勤・通学や休日で横を通り、見たことのある建物、ちょっと気になっていた外観のビル、いつも渡っている橋、花見で訪れた庭園、テレビや映画に出ていたレトロな建物などが登場しているかもしれません。
コンパクトな建築のガイドブックですので、その建築物についてすべてを紹介できているわけではありませんが、設計者・建築家の考え方やくせ、時代背景、社会状況、江戸から続く歴史、地勢や水利、工法の進歩、人の思いなどを建築物のワンポイント解説として紹介しています。また、小学校の横に公園がある理由、レンタサイクルの情報、建築用語集などのトピックスやコラム、設計者と建築物の索引も付されています。
自転車でめぐる14コースで、170余の建築物を紹介しています。
見慣れたビル、興味をそそる建物や装飾に思わぬ歴史や時代性、物語が潜んでいるかもしれません。また、何らかの理由で近々なくなる建築物もあるかもしれません。変わらぬまち、変わりつづけるまち、としての東京の都市論として読んでいただけるかもしれません。
散策のガイドとして楽しんでいただければ幸いです。
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