今回の東日本大震災の災害派遣のために、10万人を超える陸海空の自衛隊員が「災統合任務部隊」として組織されたのは、歴史上初めてのことらしいです。その災統合任務部隊の指揮にあたる東北方面総監の補佐を行っているのがこの本の著者です。著者の置かれている位置は、指揮所と第一線の現場の間ということなので、今回の震災の現場の様子も行政の対応も、著者にはよく見えているようです。
そういうことから、この本には新聞や雑誌、テレビなどでは報道されていないことが綴られており、「えっ!?」「へぇ〜」と思わせることが数多あります。とくに、現場で救援にあたっている自衛官の人たちの心情を知るに及んで、「今の日本にもこういう有難い人たちがまだまだ沢山いるのだな」と認識を改めました。尤も、こういう人たちだからこそ、「国を衛る」ということに人生を捧げようとしてくれているのでしょう。
被災地では自衛隊に対する評判が極めて高いと聞きます。この本を読んで「なるほど、それも当然のことだ」と思った次第です。
松本龍氏が復興担当大臣を辞任しました。テレビで見ましたが、あの恫喝は聞く者の心に強烈な不快感を与えたと思います。テレビで見るだけでも嫌〜な気分になりましたから。とうてい許されるものではないと思います。
ただ本書を読めば、如何に地元の自治体が縦割りと縄張り意識と杓子定規な保守的思考で被災者の方々の足枷となっているか、理解出来ます。それを知ったうえで、松本氏の「知恵を出さないとダメ」発言を考えると、一理あるような気もしてきます。恫喝は決して許されませんが、あの発言には意義もあったのでは…… そう思わせる本書には実は広範且つ深遠な問題点を抉り出す、ある意味でジャーナリズムの基本のような側面もあると思います。
これからも我々は大地震と付き合いながら生きていかないといけません。それを考えると、本書の描き出している問題点を政治家は勿論、一般の国民もよく理解しておく必要があります。過去の経験を生かすことこそ、亡くなった方々への大きな弔いとなるのですから……。そういう意味からも、できるだけ多くの人が読むべき本だと思います。
予兆とインテリジェンス