元航空幕僚長・田母神氏と同じく元空自三佐・潮氏との対談。
テポドンを落とせるかどうか(田母神氏は大丈夫と仰るが‥)はともかく、
強いか弱いかは能力を発揮できた状態でしか、比較はできまい。
読むほどに、自縄自縛、能力を発揮できない自衛隊の現状が浮かび上がってくる。
ソマリアに派遣しても、撃ってくるまで撃てないとか、海賊の使用した
武器と同程度の武器しか使用できない、とか、およそ現実離れした対応しか
できないのでは、ミサイルも速射砲も無用の長物だ。
挙句に自衛官が殉職したり、艦が沈んだりしたら、世界の笑いものだろう。
だいいち、殉職した自衛官の家族になんと言って詫びるのか。
お二人は冷静に、政治家たちの安全保障に対する無関心や無知、法体制の不備を
指摘されているが、わたしは読んでいて背筋が寒くなる想いだ。
海賊と「いい勝負」をする程度の軍事力しか使えない自衛隊、つまり相手なりの
勝負をしていて、戦争に勝つことは絶対にあり得ない。
世界の軍隊が「これはやってはいけない」というネガティブ・リストによって
制限されるのに対し、日本ではポジティブ・リスト、すなわち「あれはやっていい」
という規定をいちいち決めないと行動できないという。
そういう意味で、自衛隊は国際標準で言う「軍隊」とは違うらしい。
単なる軍備の比較ではなく、どんな運用がされるのか、展開が利くのか、
士気はどうか、などは、戦力比較において重要なファクターだろうが、
自衛隊の場合は法律と運用、指揮系統など、本来は前提として当たり前に
整備されているはずのことに問題があるようだ。
陳列してあるだけでは、張子のトラと変わりない。
イザというとき、しっかり国民の生命・財産を守ってもらえるのだろうか。
危機感が募る一冊だ。