最近でこそ自衛隊の中で情報の分野が重視されつつあるようだが、かつては情報の仕事は日陰者の自衛隊の中の日陰者だった。筆者は終戦後の進駐米軍との接触を機に情報の世界に一生を捧げる決意をし、戦後史の様々な事件に間接的に関わってきた。本書は驚くべき裏エピソードが満載であり、このような世界があったのかと目を見開かされる思いであった。特に韓国との緊密な情報ネットワークは、筆者の韓国生まれ、軍人時代に韓国人を助けた、といったバックグラウンドから生まれたものである。この世代の情報ネットワークが失われつつある今、21世紀の日本の情報戦略は、個人プレーに依存できず、組織的なものとして構築されなくてはならないだろう。一部、自己顕示的な箇所や論証が甘いと思われる箇所があったが、一読して損が無い書物であることは間違いない。