「文は人なり」という言葉は、今では否定的に捉えられる場面が少なくない。ロジカル(論理的?)で、簡潔明瞭で、明快に言い切る、それが良い文章であるとの考え方が、世間、とりわけ、職業人の間に広まっているのではないかと思う。もちろん、ビジネスシーンでは、そういった文章が書けなければ話にならない。しかし、仕事以外では決してそうではない。趣味で読む文が、ロジカルであっては何とも無味乾燥。
前置きが長くなってしまったが、本書はまさに「文は人なり」の典型といえる。著者の真剣で、一途で、思慮深い人柄が滲み出ている。文体は上品、一文もほど良い長さで、言葉も丁寧。読ませる文章であると私は思う。
もちろん、内容も面白い。撮影の苦労話や、日常生活の雑感が透明感のある文章で綴られている。ちなみに、一番印象に残ったのは「2006年10月30日 ちゃぶ台」ですね。