欠かさず読んでいる乃南アサさんの新刊です。
今回の作品はアメリカ淵・渋うちわ・また逢う日まで・どんぶり捜査の4つの中篇から成る連作集
乃南アサさん、お得意とする刑事物が今回は今までと趣向を変えて
昭和40〜50年代が背景となっている。
科学捜査がまだ未熟だった時代、主人公の土門は情熱と経験と勘を頼りに、地道な捜査を続ける。
小さな手がかりをつなぎ合わせて事件の全容を明らかにし、容疑者を自白に追い込むさまは、職人芸の趣だ。
主人公の土門功太郎の人物描写が見事で脳内映像にくっきりと現れて来る。
そして愛人殺し、夫殺し、連続空き巣狙い、タクシー運転手殺しなど4編の短い文章の中で
犯人たちの心理も丁寧に描写している。
大阪万博、三島由紀夫の割腹自殺、ディズニーランドの開園といった出来事や、
「矢切の渡し」「また逢う日まで」「圭子の夢は夜ひらく」など名曲が背景にちりばめられていて
昭和の時代さえも丁寧に描かれていて懐かしさを感じました。
乃南さんの引き出しの多さにはいつも驚かされます。