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自由貿易は、民主主義を滅ぼす
 
 

自由貿易は、民主主義を滅ぼす [単行本]

エマニュエル・トッド , 石崎晴己
5つ星のうち 4.6  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

出版社からのコメント

自由貿易推進は、是か非か!? 世界的大ベストセラー『帝国以後』の著者、トッドの最新発言集! 「自由貿易こそ経済危機の原因だと各国指導者は認めようとしない」「ドルは雲散霧消する」「中国が一党独裁のまま大国化すれば民主主義は不要になる」――米ソ二大国の崩壊と衰退を予言したトッドは、大国化する中国と世界経済危機の行方をどう見るか? 青木保/片山善博/加藤出/佐伯啓思/辻井喬/冨山太佳夫/平川克美/堀茂樹/松原隆一郎/三浦信孝/三神万里子/御厨貴/脇祐三

登録情報

  • 単行本: 300ページ
  • 出版社: 藤原書店 (2010/12/22)
  • 言語 日本語, 日本語
  • ISBN-10: 4894347741
  • ISBN-13: 978-4894347748
  • 発売日: 2010/12/22
  • 商品の寸法: 19 x 12.8 x 3 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.6  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)
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25 人中、23人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By blackstar トップ1000レビュアー
 25歳にして著書「最後の転落」で15年後のソ連崩壊を予言。02年の有名な「帝国以後」でアメリカの金融危機を予言した、フランスを代表する知の巨人であり歴史人口学者・家族人類学者の今のところ最新の翻訳書。

 本書は09年秋の来日時に行った講演や対談を収録したものであり、一冊の本として編まれたものではないが、その分圧倒的に読みやすく、今までの著者の主著書にも触れていることから、トッド入門篇としても楽しめる内容となっている。

 トッドによれば、サルコジの大統領当選はよほどショックだったようだ。元来エリート層が指導者となる伝統の国で、グランゼコール出身ではなく、移民二世で上昇志向が強く、政治家としての理念や理想もなく、露悪的に私生活をワイドショー化し、暴言を吐き、アメリカにすり寄る男の存在は許せないようだ。(トッドは繰り返し「休暇をアメリカで過ごす男だ」と言う)

 しょーもない政治家ばっかりの日本人には別に驚きはないし、ベルルスコーニよりましに見えるが、この背景は格差社会から発生する政治的アノミー、エリート層の無気力があり、民主主義の変質と混乱がある(民主主義発生の地フランスでもそうなのだから、日本の指導者に理念がなくポピュリズムにはしるのはむべなるかなという気がしてしまう…のも著者のいう「アトム化」的なものか)。

 人口動態からソ連崩壊を予言した著者の、ここでの主張は自由貿易から起こる賃金低下を防ぐための「(EU)域内保護貿易」である。かつて企業家は賃金の上昇によって購買力が上がると考えたが(フォードが工場労働者の賃金を上げたのが想起される)、自由貿易はその逆であり、EUは低賃金の新興国に対抗するために保護貿易を行うべきであるという、ある意味「革命的」な提言である。

 詳しくは本書をお読みいただくしかないが、これは大戦間に起こった保護主義とは異なるものであり、全ての商品に当てはまるものではなく、排外主義とは違う(著者はサルコジの移民対策に関しても嫌悪を露わにする)。著者は、やがて世界はひとつになるというような空想的な理想主義者ではなく、あくまでプラグマチストであると思う。ただし、ルーピー鳩山前首相が唱えたようなアジア共同体のようなものは、EUとは違い成立しえないと喝破している。

 経済学者やアメリカの学者とは異なる視点からの、耳を傾けるべき案である。
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34 人中、30人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
トッド予想 2011/1/17
By トップ500レビュアー
経済同友会における講演15頁要約。
以前は、労働者の賃金が上がれば、同時に需要が上がりまた技術革新により需要を更に刺激することが出来た。
現在は、中国のように非常に低い賃金で働く労働者が膨大にいるためこのモデルは壊れてしまった。
国際規模での給与水準は下がる一方である。
賃金はカットされなければならない「コスト」と見做されるようになった。
需要不足の原因である。(世界規模でのデフレーションの要因でもある)
パイの拡大を求めた「自由貿易」とは逆の現象が現れている。
しかも、不平等が拡大し富の資源が超富裕層に集まってしまった。
最後にはアメリカの金融市場に流れて今回の金融危機のように結局は全て蒸発して消えてしまった。
アメリカは最後の消費者の役割りだった。
自由貿易こそが危機の原因である。

なぜ、危機の原因が理解されないのか。
その一つに集団行動を不可能にしてしまう程の個人主義(ウルトラリベラリズムの特徴)の台頭がある。
原理主義者が唱える「自由」とか「改革」とかは美しくよい響きがあるが現実主義(利益調整)がなければ危機を回避できない。解決策は自由貿易と保護主義(イデオロギーとしてではない)の間を行ったり来たりする必要がある。
そして、歴史を振り返れば、保護主義の方がむしろ民主主義を助長させ社会的平等という価値に基づいた経済政策を行ってきた。
「経済的自由」と「政治的自由」を混同してはならない。
極言すれば、現在は民主主義か自由貿易主義(端的に言えば経済戦争)か、いずれかを選ばなければいけない状態にある。

他に、<考えを聞く>、<対話>が多数収録されておりトッドのこれまでの全作業が鳥瞰的にみれる。論文形式でないので非常にわかり易い。
私は、アジアの国の中央銀行の総裁にだけはなりたくありませんね。という言葉は不気味。
このレビューは参考になりましたか?
19 人中、17人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By Gori トップ500レビュアー VINE™ メンバー
今に日本やアメリカの経済で起こっていることは何んなのか。
「 Occupy Wall Street〈ウォール街を占拠せよ)と叫んでデモをするアメリカの失業者やその支援者。
ワーキングプアと呼ばれ品古音から這い上がれない日本の労働者。
これらの原因は「富裕層による独裁」が起こっているからである。
アメリカでは怨嗟の対象になっている上位富裕層1%がよく見えているのに対し、
日本ではその姿は巧妙に隠されている。
しかも、日本人は江戸幕府の瓦解以来、政府によって衆愚として慣らされてしまっている。
そんな状態の衆愚にデモはできないという違いがあるだけで民衆の気持ちは同じである。

フランス人の著者トッド教授は言う。括弧内は私見
・自由貿易になって起業の目が海外市場に向き始めると、国内授与おを生み出す労働者の賃金を
 単なるコストカットの対象としてしか見なくなる(人件費は利益ではないはずだ)
・富が超富裕者層に集まりすぎている〈再分配機能も働いていない)
 その富はさらにアメリカに集まり雲散霧消する。
・(自由貿易における競争は金銭という武器を使った戦争である)
・自由貿易主義者は教条主義でそれ以外のイデオロギーを許さない
・保護主義は民主主義と矛盾しない「経済的自由」と「政治的自由」を混同してはならない。
・大衆の利益を反映するような選挙制度になっているか〈日本に小選挙区はなじまない。
 中選挙区に戻し、国も地方も大幅に定数を減らすべきである)
・アメリカの自由貿易による帝国主義は、ソ連と同じように崩壊する。

最後の項目は、つまりアメリカの提唱するTPPである。
日本のTPP参加は、このアメリカ帝国主義陣営に日本も組み入れられることなのだということを
肝に銘じて理解せねばならない。
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