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自由貿易という幻想 〔リストとケインズから「保護貿易」を再考する〕
 
 

自由貿易という幻想 〔リストとケインズから「保護貿易」を再考する〕 [単行本]

エマニュエル・トッド , 松川周二 , 中野剛志 , フリードリッヒ・リスト , ダヴィッド・トッド , ジャン=リュック・グレオ , ジャック・サピール , 西部邁 , 関曠野 , 太田昌国 , 山下惣一 , 関良基
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商品の説明

内容紹介

TPP参加という愚策。自由貿易は、デフレを招く。リスト、ケインズが構想した「保護貿易」とは何か?自由貿易による世界規模の需要縮小こそ、世界経済危機=デフレ不況の真の原因だ。 したがって、さらなる貿易自由化は、いっそうの需要不足・供給過剰を招き、デフレを さらに悪化させるだけである。「自由貿易」と「保護貿易」についての誤った通念を改 めることこそ、経済危機からの脱却の第一歩である。

出版社からのコメント

本書のねらい
2011 年の念頭にあたって菅直人前首相は、「本年を、明治の開国、戦後の開国に続く、『平成の開国』元年にする」として、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)など貿易自由化に向けた交渉・協議を本格化させる考えを表明し、続く施政方針演説でも「今年6月をめどに交渉参加について結論を出す」と宣言し、TPP参加を「第三の開国」と位置づけた。
元旦社説で新聞各紙も、「日本が交渉に乗り遅れれば、自由貿易市場の枠組みから締め出されてしまう」(読売)「自由貿易の強化は、貿易立国で生きる日本にとって要である。自由貿易を進めるTPPへの参加を進められるかどうか。日本の命運はその点にかかっている」(朝日)などと左右の立場を超えてこれに賛同した。まさに「右も左も自由貿易主義を推進」と仏の人類学者・歴史人口学者エマニュエル・トッドが指摘する通りの状況である(『自由貿易は、民主主義を滅ぼす』)。
このTPP参加問題は、その後の東日本大震災を受けて、一時、棚上げされていたが、9月末、野田佳彦首相が、11月開催のAPECでのTPP参加表明に向けて、早急に結論を出すよう与党幹部に指示し、プロジェクト・チームを急遽、発足させた。これは、APECにおいて米国などがTPPの大枠合意を目指していることを睨んでの動きだが、経済危機と東日本大震災後の復興への対応が迫られている現状において極めて重要であるはずの経済政策を検討するにしては、「バスに乗り遅れるな」式のあまりに拙速な議論である。だが、新聞各紙、とりわけ全国紙の社説は、TPP参加と自由貿易のさらなる推進を相変わらず主張し続けている。なぜなのか?
それは、「自由貿易が成長をもたらす」という漠然としたイデオロギーに囚われ、現在の経済危機の原因と対処法を見誤っているからであろう。
現在の経済危機は、デフレによってもたらされている。デフレとは、需要不足・供給過剰状態を指す。したがって、貿易自由化による安価や製品や労働力の流入は、さらなる供給過剰を意味し、デフレ不況への対処となるどころか、このデフレ状態をさらに悪化させるだけである。また外需頼みの輸出主導型成長も、現在の経済危機に対する根本的解決にならないことは、2008年のリーマン・ショックですでに明らかになっている。
トッドが『デモクラシー以後』で指摘しているように、世界経済危機の真の原因は、自由貿易による世界規模の需要縮小にこそあるのだ。だが、G8やG20に集まる各国の指導者は、これを認めようとせず、「保護主義に走ることこそ脅威である」と異口同音に唱えている。このように「自由貿易」が絶対視され、「保護貿易」がタブー視されるなかで、世界経済危機に対する適切な措置がなされないまま、危機がさらに深刻化する悪循環に陥っているのである。
本書が明らかにするように、リストやケインズが考えていた保護貿易は、排外主義的なイデオロギーなどではなく、時代状況を見据えての柔軟で節度をもったプラグマティックな政策なのであり、トッドの主張する協調的保護貿易論も、労働者賃金の再上昇をきっかけとする世界規模での需要拡大を企図した、デフレ脱却のための処方箋なのである。
「自由貿易」と「保護貿易」についての誤った通念を改めることこそ、経済危機からの脱却の第一歩である。ところが、このような深刻な危機にあって、日本は、全く愚かな政策を選択しようとしている。こうした危機感から本書を企画した。

登録情報

  • 単行本: 272ページ
  • 出版社: 藤原書店 (2011/11/9)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4894348284
  • ISBN-13: 978-4894348288
  • 発売日: 2011/11/9
  • 商品の寸法: 19.2 x 13.6 x 2.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
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By 西山達弘 トップ500レビュアー
自由貿易に象徴されるグローバリゼーションの危機を主張し続けているE・トッド氏による論考を中心に、自由貿易と保護貿易という命題に含まれる多くの課題を浮き彫りにしてくれる一冊。

そこには、単純に二項対立論ではいかない大きな課題がひそんでいることを明らかにする。
すなわち、
自由貿易は製造業の空洞化を通じて深刻な雇用の流出をもたらす。
不況に対して、景気刺激策を採ったとしても、結果として新興工業国の輸出が増えるだけである。
今の自由貿易は富の偏在を招き、需要を縮小させ、格差を拡大させる。
2008年の世界経済危機も世界規模の需要不足が原因である。
自由貿易と民主主義は両立しない。
など多くの問題点を指摘しつつ
大恐慌後の保護貿易によって経済の収縮が起こったという事実はない。
あのケインズも穏健な保護貿易を主張した。
リカードの比較生産説は農産物には当てはまらない。
など、興味深い説も披露される。

一方で、経済学への批判も鋭い。
トッドが批判する経済学の「経済人」という考え方に加え、今日の世界は三つの作り話、すなわち「自由貿易」、「市場経済」、そして「経済成長」であるという関氏の議論も興味深い。
また、GDPという考え方の欠陥、すなわち金銭に基づく市場取引しか計上しないのに対し、市場以外の貨幣を伴わない交換などGDPにカウントされない部分があり、必ずしも豊かさの指標とは言えないというのが論拠である。

さらには、混迷が続く日本の政治状況について、日本だけでなく先進国共通の現象とし、民主主義の弊害としての社会の階層化が進んでいると危惧する。

急激な円高進行と圧倒的な労働コストの差から、家電業界に代表されるようにいまや日本の製造業は大変な危機に瀕している。
TPPが製造業にとって救世主のようにいわれているが、大いに疑問である。
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By Gori トップ500レビュアー VINE™ メンバー
「自由貿易は幻想」だと主張する識者たちによる論文集。
「自由貿易」に対する用語は「保護貿易」だが、
これらの用語は「本来自由であるべき貿易を様々な保護政策で守る(邪魔なもの)」
という文脈で捉えられがちである。
しかしそれは自由貿易が即ち放任貿易ではないことを考えると
明らかに間違った使い方である。

ゆえに、TPPは自由貿易推進だから正しいように思えるが、それもまた違うと僕は思う。

論者のひとりE・トッド氏は次のように言う。
「中国が世界の成長モデルに成ったら中国んまねをするのかそれは嫌だ」僕も同感である。
「教育水準の上昇はさらなる階層化を生む。学歴による階層である」貧困、格差、勉強のできるできない。
「自由貿易と民主主義は長期的には両立しない」そのとおりだと思う。民主主義と資本主義も本来的には両立しないと思う。
「日本はフィリピンやベトナムなどの文化的、歴史的に近い国家と経済協定を結ぶべきである」
 経済協定とは本来そういうものだろう。フィリピンの経済的躍進ぶりを日本人はみんな知っているのだろうか。
「識字率がようやく大衆にまで及んできた中国と、老いたる先進国日本の結ぶは”同時代性”がないので合わない」
「TPPはアメリカの戦略でありそれに日本がのせられる筋合いはない」最後は僕の意見である。
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