いわゆるネオリベ(新自由主義)批判の書はそれなりに出版されているが、その中でも切り口の面白い秀作。
本書のテーマは主に二つ
第一に80年代以降の政治状況を「なし崩し」の連続によるヘゲモニーの浸透と捉え、
そこで権力形態がいかに変化してきたのか/いるのかを考察するもの。
第二に、そこで何が<外部>に押し出され、排除されているのかを見ようとするもの。
個々のトピックは海外の事例が多いものの、現在の日本の状況と通底する部分は多い。
例えば、非正規雇用の増加や、いわゆる「NEET」批判の問題、犯罪者に対する「ゼロ寛容」政策の問題点などなど。
バウマンやブルデュー、フーコーなどの著作を読んで面白いと感じる人であればすんなり入っていけるだろう。
ただし個々のトピックの出し方や、その切り口は面白いが、厳密なタームの定義や、論理の詰め方に若干の飛躍があることは否めない。非正規雇用の増大や、アイデンティティの「流動化」、ゼロ寛容政策などが連動していることは誰がみても明らかであるが、それらが、どのように、どういった「ネオリベ」政策と関係しているのかまでは手が伸びておらず、「ネオリベ」という<仮想敵>を批判のために簡略化してしまった感はある。
とはいえ、もともと雑誌記事として書かれたものにそうした厳密さを求めることは勿論、お門違いだし、内容の面白さ、事例とフーコーなどの思想を結びつける手法の上手さは高く評価できる。