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自由とは何か―監視社会と「個人」の消滅 (ちくま新書)
 
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自由とは何か―監視社会と「個人」の消滅 (ちくま新書) [新書]

大屋 雄裕
5つ星のうち 3.6  レビューをすべて見る (5件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

かつてより快適な暮らしが実現した現代社会。各人の振る舞いは膨大なデータとして蓄積され、“好み”の商品情報が自動的に示される。さらにはさまざまな危険を防ぐため、あらかじめ安全に配慮した設計がなされる。こうして快適で安全な監視社会化が進む。これは私たち自身が望んだことでもある。しかし、ある枠内でしか“自由”に振る舞えず、しかも、そのように制約されていることを知らずにいて、本当に「自由」と言えるのか。「自由」という、古典的かつ重要な思想的問題に新たな視角から鋭く切り込む。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

大屋 雄裕
1974年生まれ。東京大学法学部卒業。法哲学を専攻。名古屋大学大学院法学研究科准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 新書: 214ページ
  • 出版社: 筑摩書房 (2007/09)
  • ISBN-10: 4480063803
  • ISBN-13: 978-4480063809
  • 発売日: 2007/09
  • 商品の寸法: 17 x 10.8 x 1.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.6  レビューをすべて見る (5件のカスタマーレビュー)
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39 人中、30人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 深見 VINE™ メンバー
形式:新書
著者は気鋭の法哲学者。標準的な学説を堅実に踏まえつつ鋭い論理を突き詰める明快かつ強靱なスタイルに定評がある。本書はそんな著者が「自由」という古くて新しい根本問題について考える本である。

構成として、まず近代社会の前提たる「主体性ある自律した個人」概念が不自然に思われることを指摘し、では何が個人を制約すると考えられたかを追っていき、同時に制約から逆照射するように様々な自由の思想を紹介・考察する。ついで監視システムと自由、特に現在進展している個人情報の集積・管理体制が自由に対してどんな影響を及ぼすか/及ぼしうるかを最新事例に則して論じ、それでもなお自由を求める際に生じるリスクを見る。そして自由の条件として引き受けるべき「責任」概念を主に刑法の新派と急派の対立から検討し、さらに擬制としての自由な個人を総説して自身の主張に至る。

思想方面では井上達夫やレッシグはもちろん阿部謹也、フーコー、はては中島みゆきの歌詞まで参照し、制度論としては民法・刑法・大審院判例からアメリカのメーガン法など幅広く論じる懐の深さ。自由の敵は国家に限らず共同体や他の個人もなりうること、事前規制と事後規制の違い、積極的自由と消極的自由など、十把一絡げにされがちな論点を丹念に腑分けする。また、監視システムは便利だしそもそも人々のニーズに応えている側面を正当に評価するといったバランス感覚もあり、非常に説得的である。

とはいえ決してやさしくはない。政治思想や哲学についてある程度の知識が前提されているし(固有名頻出)、なにより法学入門の良書を読んでいる程度の準備は必要だろう。200ページちょっとの新書ながら読み応え充分、出典の付け方一つとっても信頼度が高い。物事を根本から考える基本書として、自由を概念整理した至便な参考書として、現代社会を多角的に捉える応用問題集として、真に実用的な本と言える。迷うことなく星五つ。
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21 人中、15人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:新書
副題から住基ネットや監視カメラについての告発や問題提起の本かと思ったらそうではなかった。
かなり学術的な論述が多く、著名な学説や出典の説明が続々と出てきて途中でへこたれそうになった。
しかし「自由が制約されていることにすら気づかない場合に誰が被害を受けているというのか」とかいう問いかけは一考に価すると思った。
人々の安全を守るための権力の役割として事前規制と事後規制があること。
事前規制は事件の発生を未然に防ぐという大義名分の下、自由を抑圧することに注意が必要。
事後規制は量刑を明確に告知しておくことによって抑制効果を持つ。未然に防ぐことは出来ないが事前規制の過ぎた社会の怖さに対して著者は警鐘を鳴らしている。
後半部分では日本の刑法の成立やその課題などを具体的に書いていて面白かった。

安全という美名の下、個人のプライバシーを丸裸にする現代社会。
アマゾンに蓄積される名前の無い消費主体としての「個人」。
しかしそれはもう主体的な「個人」ではないという。

本当に自分は「自由」なのかを考えさせてくれた本だった。
このレビューは参考になりましたか?
19 人中、13人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By θ トップ1000レビュアー
形式:新書
古くて新しい「自由」について、「管理」とからませながら、ありがちだが独特の議論を展開する。

これまでは、自由は国家によって制約されるもので、そうした制約を取り除けば自由は守られると考えられていた。
しかし、「管理」は国家以外からもなされるものであり(民営の監視カメラなど)、そうした管理は安全などという形で私たちの利益にもなる。
そして、アーキテクチャによる管理、物理的に自由をあらかじめ奪っておくことにより、人々を一定の方向へ向かわせるものが、現実として進みつつある。
ここで対立するのは、「個人を安全にするために、あらかじめ選択肢を制限する技術」と「個人が好き勝手にする(危険もある)自由」である。

こうした「本人の利益となる管理と自由の制約」をどう扱うかが、筆者の主たる問題意識であろう。
帯の「監視カメラで自由な個人はもう用済み?」の意味もやっとわかる。

筆者自身は、こうした制約に一定程度の魅力を感じつつも、なお「自由な個人」というフィクションは信ずる価値があるとする。

なお、筆者の論敵でもある安藤馨の「統治と功利」、さもなくば「創文」2007年1・2月号に収録の同名の論文、はこの「本人の利益となる管理と自由の制約」と自由で自律した個人の消滅を積極的に擁護している。こちらを読んでから本書を読んでみると、筆者の問題意識がより鮮明に見えるだろう。
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