本書は著者の提唱する自然農法によって現代農業のあり方を批判し、更に進んで西洋思想一般に対しても批判をし、新しい人間のあり方を提唱する本です。
基本的に、現代農業のあり方に疑問を持っている人にお勧めの本だと思います。今から20年以上も前の本ですが、現代農業の抱えている問題-農薬、化学肥料、土地の貧困化、高コスト、重労働-を見事に解決しています。ポイントは作物の生命力を阻害しないこと、逆に農民は不必要なことをしないこと、と至ってシンプルです。穀物、果樹、そして野菜の栽培について、かなり具体的に解説してあり分かりやすいので、農家でなくても気軽に実践できると思います。
また、その自然農法の立場から、現代の消費のあり方、農業や農政のあり方、そして思想について批判が展開されます。かなり宗教、特に禅の影響が強いので、農業の本とだけ思って読んだ人は面食らってしまうと思います。ここの部分はかなり癖が強いので、人によって評価は大きく分かれるのではないでしょうか。しかし、根本原理ははっきりしていますし、体系もシンプルなので、理解するのは難しくないでしょう。ぜひ、思想の面からも現代の農業と社会を見直し、あるべき未来について思索を巡らせて欲しいと思います。