「科学は何をしているの?」という好奇心で読み始められる本だと思う。「対称性と非対称性」を鍵にして、自然界の様々な事柄が語られている。
まず、話題の幅が広い。エックス線や放射線発見にまつわる人間ドラマから、分子の鏡像対称性、生命の起源、素粒子から宇宙の進化まで扱われている。(陰極線の研究中、勘違いで「心霊体が発生した」と報告された話も紹介されている。)
そして、話題の層が厚い。日常の不思議(例えば、歯で年齢の測定は可能か、女性の顔の右半分と左半分のどちらが男性に人気があるか)に始まり、最新の科学が追求する超対称性やヒッグス場といった概念が平易な文章で、比喩、ユーモア、図を交えながら説明されている。
この筆者は次の本で、どの様な世界をその語り口で展開してくれるのだろうか、と思わず期待させられた。
隅々まで、完璧に理解するのは難しいかもしれない。ただ、細かな部分をとばしても、全体の雰囲気をつかむことはでき、内容が広く深いので、多くの読者が、この本のどこかを「おもしろくて、ためになった」と言えるのではないだろうか。