火力発電や原子力発電の限界(地球温暖化や事故のリスク)が叫ばれると、自然エネルギー礼賛のような状況になりやすい。
だが、本書は単純に礼賛するのではなく、長所と短所をきちんと見据えたうえで、どのようなエネルギー戦略をとるべきかをきちんと検討している。
風力はその不安定性や設備効率の悪さ(20%ほど)をきちんと指摘している。
定格出力(安定して出力できる最大の電力)と最大出力の違いなどは知らなかったので勉強になった。
ジェット気流の活用などという発想はへぇと思わされる。
太陽光も変換効率は10%ほどとあまり割はよくない。
「むしろ天窓をつけて直接照明として取り入れた方がいい」という提案はなるほどだ。
代わりに筆者が推しているのは、水力と地熱である。
急流と火山大国という日本の地形を生かした発電であり、確かに見込みは大きい。
補助金漬け状態になっていて、効率性無視の導入が続く現状にもメスを入れている。
「普及すればコストが下がる」というのも、量産体制が敷かれる可能性はなく、またPCのように大きさを小さくして高性能に集約することの出来ない発電施設では厳しいと論じている(p154〜155)
難しいエネルギー問題だが、決して保守的でもなく、なかなか面白いが堅実な方向性を提示してくれているように思う。
今回の大地震で原発問題が浮上している今だからこそ読んでほしい本。