人類はこれまで、生活のために、欲望のために、自然環境を利用し、
搾取してきました。しかし、そうした行為は、この数十年の間に出現
した公害、食糧危機、多くの生物種の絶滅、そして地球温暖化といっ
た諸問題の発生によって、過去のものになろうとしています。考えな
しに「自然への介入」を続けることは、もはや不可能であるばかりか
犯罪的行為でもあるのです。
では、環境に対して、わたしたちは何をすべきで何をすべきでない
のか。自然保護は絶対的正義のように見えますが、自然保護によって
利益を奪われる人もいます。生態系と人間社会との間の境界線は、自
明なようでいて常に揺らいでいます。
本書は、世界各地で起こっている環境問題から12の典型的な事例を
取り出し、当事者の立場で具体的に考え、議論することを通して、自
然環境に対する意識と態度、すなわち「環境倫理」を培おうとするも
のです。答えはありません。読者一人ひとりが、これから創り上げて
いくのです。
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