副題の「仕事の流れをつかむ実務のポイント」が、この本の本質を実によく表わしている。
予算・決算が仕事の中心である自治体の財務担当の仕事は、年度のサイクルに強く拘束される。毎年いつまでにどの仕事を終わらなければならない、ということを非常に強く認識しないとやっていけないのが自治体の財務担当者なのである。4月から始まって3月に年度が終わるまで、「いつ頃何をしなければいけないか」ということを分かりやすく書いてくれた本書は、まさに実務者が現場の視点で書いてくれた入門書である。もちろん自治体によって「いつ、何をするか」は微妙に異なるのだが、大筋は共通しており、本書は初めて財務事務に携わる職員が読んで仕事にただちに役立つ、極めて優れた入門書である。
一方で自治体財務の経験者にもぜひ一読をお勧めしたい本である。長く財務に関わった筆者の、仕事に関する深い洞察があちこちに散りばめられており、裨益するところ大である。例えば、172頁「総額管理枠配分方式」について、「役所の中で、事業の内容や改善すべきところは、サービス対象者に最も近い位置にいる現場の職員が最も知っており、その知恵を活かす方が得られる効果は大きくなります。」「財政課にもっとも必要なことは「我慢」と「現場を信頼する」ことです。いわゆる、庁内権限移譲するという発想が必要となります。」というあたり、新しい財政課のあり方を実践してきた筆者ならではの洞察である。自治体財政の専門家を自任しておられる方々は、ぜひご一読いただきたい。極めて良質な刺激が得られることは、保証できる。