私は、「自治体職員が知っておきたい債権管理術」というタイトルや「使用料・手数料等の滞納債権を消滅時効させないために」というサブ・タイトルから、本書を「自治体の滞納債権回収の実践的な手引書」と思って手にとった。
読んでみた感想は以下のとおり。
(a) たとえば「サラ金で借金した自治体職員の給与に対して差押命令があった場合の対処」や「債権者が債権者以外の預金口座に口座振替を希望した場合、そのようなことが可能か」などの項目も含まれており、「自治体が有する債権を回収する」ことに限らず、広く自治体の歳入・歳出事務について書かれている。
(b) 主に、法令面での枠組みの解説が中心であり、滞納者との交渉ノウハウなどはほとんど書かれていない。主として「お勉強の本」であり、「債権回収の実践的手引書」という性格は薄い。
(c) 本書では文字による解説がほとんどであり、図表化による整理が少ないため、読むのにけっこう根気が必要。さらに何度も同じ説明が出てくることからみてもわかるように、本全体の構成にもやや工夫が足りない部分もある。
近年、ビジュアルで読者にフレンドリーな本が増えてきた中では、少数派となりつつあるような「文字中心のお勉強の本」です。
しかし、この分野の本は多くない中で本書は貴重な本。「自治体の債権を扱う人が基本的な知識を確認する」という面では有意義な本であり、読む価値が十分にあると思います。