精神科医として自殺未遂者や遺族のケアに多く携わってきた著者が、自殺の現状や心理状態、予防方、万が一自殺が実行されてしまった場合の遺族のケア等について記した、題名どおりの「自殺予防書」だ。
本書の特徴は専門的な話も比較的平易に書かれているため理解しやすい点だと思う。
込入った自殺裁判、抗鬱剤の副作用などの素人にはなかなか難しい話題についてはグラフや一覧表、年表を多様して理解しやすいように配慮されている。
また、巻末には相談所の電話番号や保険機関の連絡先なども記載されており、少しでも自殺者を減らそうとする著者の熱意がうかがえる。
個人的に興味を魅かれたのは自殺とマスメディアについて言及している点だ。
報道の仕方によって、自殺願望のある人がその情報に触れた場合のその後の自殺率が変動するというのだ。
自殺を誘発する可能性の高い報道として、以下の点が上げられていた。
・自殺の方法を詳しく報じる
・画像や犠牲者の写真を掲載する
・大きな見出しで報じる etc…
上記の点を考えれば、著名人の自殺報道のあとに後追自殺がみられるのもうなずけるものがある。
自殺という過度に負のエネルギーが大きい現象にどうやって触れていくのか。
行政やケアに携わる人だけの問題ではなくて、個々人が意識しなければ、日本の高い自殺者数(年間3万人、交通事故死者の4倍)が減少することは難しいと思わされた。