『自殺について』との表題が、果たして一般にいかなる印象を期待させるものなのか、
寡聞にして私の知る由もないところではあるが、本書はショーペンハウアー『付録および補遺:
哲学小論集Parerga und Paralipomena:kleine philosophische Schriften』の抄訳、
第2巻の10章から14章までを収録、「自殺について」はそのうちの1章のタイトル。
要するに、このドイツ人哲学者の主著たる、あの膨大な『
意志と表象としての世界』の
ダイジェスト、と言っても差し支えない一冊。
自殺は必ずしもメインテーマにはあたらない。例によって時間や意志の話を繰り返し、
その行きがかり上、多少、死や自殺の話が混じる、という程度。
本書は日本語でほんの100ページ程度、とはいえ、短いことは必ずしも分かりやすいことを
意味しない。私の見たところ、
デカルトの「我思う、故に我在り」や心身二元論の話とか、
カントの現象と物自体の話などは前提としてある程度知っていないことにはついていけない
だろうし、畢竟、本人のあのテキストを読め、ということになるのかも知れない。
だからといって、そんな小難しいことなんか知らねえよ、という方にとって全く無益な
テキストとも思わない。それが筆者の意図に適うかどうかはさておき、端的に並べられた
金言集として読んでも、そう悪い本でもないとは思う。