年間に3万人以上が自ら命を絶つ「自殺大国」とも言われる日本。スマナサーラ長老が仏教の立場から、「人はなぜ自殺したくなるのか?」という大問題に切り込んだ異色作。
単に「命は大切です。」「生かされていることに気付きましょう」といった生ぬるい話は一切出てこない。
生命の根本煩悩のひとつである「非生存欲」をキータームにして、人が自殺に追い込まれる心理的プロセスを精緻に解き明かしていく。
仏教は自殺を絶対悪としていない。しかし人が自殺にいたるこころのはたらきは、確実に悪い結果・不幸な結果をもたらすことを警告する。
後半は日本の子育て・教育について辛口に論じている。これまた社会問題になっている学校での「いじめ」について、具体的なケーススタディをまじえて「サバイバル術」を説く。
通読して感じるのは、これはすごく強烈な本だということ。「日本文化は自殺を応援する文化」「自殺する人は腰抜け」などなど、ギョッとするような言葉が連射されるが、そこには現実をごまかそうとする「善意のウソ」はない。相手におもねったごまかしもない。真理の立場から、ホントのことしか書いてない。
ブッダに握りこぶし(隠す教え)はない。だから、「これが答えだ」とはっきり言い切っている。日本の仏教者が忘れていることだが、これこそが教えを語るものの誠意の形なのだと思う。
仏教とは「苦を知り尽くし、楽に生きることを学ぶ」道なのだと再確認させられた。ウソやごまかしからは苦しみしか生まれないのだから。一人でも多くの人に手にとってほしい。そして元気になって、この世界で楽に生きぬく智慧を身につけてほしい。