本書は自殺した父親を持つ遺児達の肉声を綴った痛ましい作品。自殺した本人も当然苦悩を抱えていた事だろうが、遺された家族達も経済面の苦労は勿論、「あの時声を掛けてあげればこんな事にはならなかったのでは」という自責の念、自殺した姿を直視した場合は何時までも残る衝撃、父親が自殺したと言えば周りから偏見の目で見られるかもしれないという抑圧された心境など様々な後遺症が残る。自殺はバブル崩壊後の90年代後半から急増し、三万人を越え、交通事故による死者の4倍に上るという。
私の会社では、社内ブログを開設しているが、偶々本書が話題に上った。その時、ブログ始まって以来の反響があった。言い方は変かもしれないが、私の世代は"自殺するかもしれない世代"である。投書は殆ど自殺と鬱病の関連性を指摘し、友人が鬱病によって自殺した話、自身が鬱病でカウンセリングを受けている話、鬱病対策の一般論など真剣な論評が続いた。私が思っていたより、鬱病と自殺の問題が身近に存在し、かつ深刻な問題である事を痛感させられた。
自殺する者も遺される者も苦しむ身近で深刻な問題。せめて身近な人だけでも、折に触れ声を掛けるなど、当たり前の思い遣りを見せる心使いの大切さを改めて思い知らされた。