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87 人中、77人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
嘘のない闊達な議論,
By otsuka (川崎市) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 自死という生き方―覚悟して逝った哲学者 (単行本)
本書の中で論理に最も力があるは「自然死は本当に楽か?」と問う部分だろう(第5章)。人は「安らかな」「眠るがごとき」などというが、理想的「老衰」とは1つの神話であり、実際は確実で悲惨な苦しみを味わうのが普通、その酷さはときに事故死や拷問による死さえ凌ぐ。ならば、なぜ、それをただ待つことしかできないのか?哲学的事業として自死(逃避的ニュアンスがある「自殺」という言葉を避けている)を企図した著者にとって、自らの死が「うつ」や「病苦」によるものではなく、完全に晴朗な精神のもと為されることを読者に納得させることが重要になる。読者としてはそれが「強がり」でないか警戒して読むことになる――不幸な老人は惨めさを隠すためにしばしば幸福そうな仮面をかぶるものだからだ。 しかし、その筆致からは確かに快活な精神と闊達な知性が読み取れ、著者の言に嘘はないと感じる。読んで愉快になる部分も随所にあるほどだ。「『老人道とは死ぬことと見つけたり』で『死にたがり老人』になって・・・自尊心と威厳を維持し続けてはどうであろうか」(p162)といった部分。また、偉人賢人の「悲観的人生観」を痛罵するところなど。「日頃『人生は無』だとか『人生は虚無』だとか言ったり、文章にしているほとんどの人々が自然死に至るまで営々と生きつづけるのはどうしてであろうか」(p231)。 人生の「よい部分」と「悪い部分」を充分に味わったうえで、「よい部分」を肯定せんがためにバッドエンドを積極的に回避する姿勢を提案する本書は、いずれにせよ老年になるまで生きた人のためのものであり、若者の安易な自殺を肯定するものではない。私は、老人になる少し手前であるが、同意はしないまでも、理解できた。人生経験を積んだ健康な常識人にこそ読んでほしい。そして、著者の言うように「その時まで本箱の隅にでも置いて」おくとよいだろう――家族を不安にさせるだろうが(笑)。
98 人中、85人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
浅羽通明の解説付きです。,
By マストロヤンニ (東京都) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 自死という生き方―覚悟して逝った哲学者 (単行本)
私の義父は脳梗塞で倒れ入院。その後肺炎にかかり、呼吸が困難となったために、喉に穴をあけて管を通して空気を入れることになりました。喉に穴が開いたので、口から食事をとることができなくなり、胃に穴をあけてそこから流動食を入れることになりました。しかし、多分本人にとってもっとも辛かったのは、言語を発することが不可能になったこと!!脳梗塞でロレツが回らないにしろ、一生懸命にしゃべっていた義父は、それ以降「話す」ことを封じられました。そのストレスからなのでしょう、こんどは胃潰瘍です!!体中に管を通され、苦しみながら死んでいった義父!!これが将来の自分の姿である可能性は無いとは言えないはずです。 延命治療のなんたるかを見た気がします。 医学界の生命至上主義・・・・なんとかしていただきたい。 安楽死、ということには大賛成ですが、 「自死」ということまでは考えたことがありませんでした。 賛成・反対の結論を急いで出さずに、本棚にしまっておこうと思います。 【2008年5月 追加】 その後、今度は自分の父が脳梗塞で倒れました。当初は、喜怒哀楽の表現はあったのですが、 長期に渡る入院生活(病院を転々とし今は施設にいます)の末、 ほぼ一日中テレビ画面を眺めている生活が中心となり、 今では、肉親の認識もままらない状態。 喜怒哀楽の表情が消えているにもかかわらず、 体が痒いらしく、苦しんでいます。膚を痛めてしまうため、 (あるいは、オムツを破ってしまうため) 拘束着を着ており、身悶えるようにして痒がっています。 義父・父の姿は、自分の老後の姿である可能性もあるわけです・・・・ 世界一の長寿国!!これは、本当に誇らしいことなのだろうか? 長寿国の「実質」を検討する時代に入ったのではないだろうか。
28 人中、25人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
安楽死には憧れるけど・・,
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レビュー対象商品: 自死という生き方―覚悟して逝った哲学者 (単行本)
確かに治る見込みのない病気に苦しみ、介護されてまで長生きしたいとは思わないし、もしそうなったらいさぎよく自ら死を選びたいとは思います。しかし、人生を存分に味わい現状に何の不満もない人間が、もはや人生の果実も充分に味わい、そして自分の人生の高にも納得できた、 老いて悲惨な自然死は避けたいとの理由で自ら命を絶つというのは普通の感覚では理解しがたいものがあると思います。 著者は自身について積極的な人生肯定論者であり厭世論者でも虚無主義者(ニヒリスト)でもなく自らの死は哲学的事業によるものであると述べています。 しかしどうしても無意識のうちに心のどこかに老境のはかなさとか人生の虚しさのようなものが、巣食っていたのではないか、といった風に考えてしまいます。 しかし、人間の、そして自分の死について考えるとき本書は実に多くのヒントを与えてくれると思います。 充実した人生を送り、悔いなく死ぬというのは誰にとっても理想でしょう。しかし現実はそううまくはいきません。抑鬱感や無力感に苛まれることもしばしばでしょう。 著者は安易な自殺については正面から否定しています。ただ全力を尽くして生きて、人生の幕引きのタイミングは自分で決める・・というのもひとつの考え方だと思います。
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