等身大の自分を受け入れることは、実に苦痛を伴うことになる。しかし、そうした自分を受け入れることで、相対的に「よい自己評価」を得ることができるようになると著者は述べている。
自分でも見つめたくない現実を真っ向から直視するのは、確かに難しいことであるし、理想的な自分と現実の自分との距離が離れている者にとっては、耐え難い苦痛を伴うものでもあるかもしれない。本当に病的な状態、特に自己愛性人格障害を抱えた方には、例示の多い簡易な本文を読むだけでも相当な苦痛を伴う可能性があることは断っておきたい。
あくまでも、苦悩に苛まれていながらも、冷静に自己評価を確固たるものとしておこう、場合によっては自己評価など気にせずに生活を送れるようにしようという方にお勧めの本である。お気楽に生活できる方には特に必要がないと思われるが、身近な方に「自分に自信がなくて仕方ない」とか、「自分が大嫌いで人と接するのが苦手だ」などという方がいたら、この本でそうした心情の理解が促されるだろう。
また、著者の他の著書(『こころのレシピ』など)からの一連の流れでこの本を読むと、自己評価とは何かということがわかるのみならず、『自己評価メソッド』で語られている、自己評価の実践方法がより深く理解できるだろう。
個人的なことではあるが、私は完璧主義的な自己像を持っている。失敗を恐れ、虚勢を張り、常に高い目標を自らに課しては、挫折し行く自分を激しく批判してきた。現実と理想の乖離に苦しんでいたことから、この本を手元において現在8回目の通読を試みている。
読みながら、著者の一つ一つの声に自分の心を照らし合わせてみると、確かに著者の言うように、少しずつ生きるのが楽になってくると思わせてくれる一冊である。翻訳者の高野さんが、毎回のように、翻訳を読みやすい文章にしてくれたことが幸いである。
著者は、「自己評価をよくする」ことについて、「長い道だが、道はある」と言う。自己評価の向上に速効性を期待するのは的外れだが、着実に道を歩んでいこうと思う者には、生きづらさを軽減する道が本書に示されているのではなかろうか。