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21 人中、21人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
説得力あります・・・,
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レビュー対象商品: 自己コントロールの檻 (講談社選書メチエ) (単行本(ソフトカバー))
最近の日本人は心理的に不安定になっているんじゃないか、幼稚になっているんじゃないか。そんなことが言われます。しかし、決してそうではないとこの本の作者は述べます。むしろ、現代人の「感情マネジメント能力」は向上している。ところが、対人関係のあり方や感情表出の仕方に対する社会的な規範がかつてなく厳しくなっているから、ささいなことでも「おかしな」ことだと感じてしまうだけなんだと。このあたりの議論は、精神病患者を取り上げたゴッフマンやフーコーの議論と重なるところがありますね。リッツァの「マクドナルド化する社会」の議論を引っ張ってきて、筆者は社会が効率化・合理化を追求するのにしたがって、個人の内面も合理的になることが求められているんだといいます。加えて、個人の人格を不可侵の神聖なものとして、それを絶対に傷つけてはいけないという「人格崇拝」の進行。今巷にあふれる心理的マニュアルの類は、そうした社会的風潮の産物であり、またそれを助長しているという筆者の話には、なるほどなと思わせます。対人関係に悩んで心理マニュアルを読む前に、是非この警告に耳を傾けておきたいものです。とはいっても、じゃあどうすればいいという回答は筆者もまだ出せていないようですが。この本はもともと博士論文だったということですが、それにしてはずいぶんかみ砕いて読みやすくしてあると思います。言説分析ということで、現実の事例がないから、すこし「はあそうですか」みたいな感じはありますが、全体としてはすごく説得力があります。
20 人中、16人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 3.0
社会学のちから,
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レビュー対象商品: 自己コントロールの檻 (講談社選書メチエ) (単行本(ソフトカバー))
本書は、心理主義化の意味を心理学的知識を知識社会学的に分析することによって明らかにすること、ということなんですが難しかったです。読んだ印象は、現代社会に生きる人たちみんなが他人の気持ち、こころを傷つけてはならない、と考える「人格崇拝」と、仕事からプライベートまですべての事柄を効率的に予測可能性をもってすすめるのが善だと考える「マクドナルド化」の二つの考えが道徳の基本として今現在あり、この考えから少しでも逸脱する人がいれば即座に「困った人」というレッテルを貼られてしまう社会だということです。そのため自分の感情をマネジメント=コントロールできるようにならねばならない、と自己啓発的な自助マニュアル本を分析し、またスチュワーデスのトレーニングなど具体例??出しながら明らかにしていきます。 読後、一番感じたのは、どれだけ本書で自己コントロールをすることがしんどくて、現代社会の息苦しさを記述していても、「人格崇拝」と「マクドナルド化」という道徳からは逃れられないなぁ、というものでした。筆者もこれに代わる道徳は考え付くことが出来ないといってます。
7 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
現代社会を下支えする心理主義・精神分析…派遣労働・犯罪報道にも潜むメカニズム,
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レビュー対象商品: 自己コントロールの檻 (講談社選書メチエ) (単行本(ソフトカバー))
知識社会学の方法を用いて、心理主義的言説がどのように要請・構築され、誰が誰のためにそれを用い、どのような効果をもたらすかを述べた著書。心理主義とは、著者によればマズローの欲求段階説を嚆矢とし、自己心理学による人格コントロールや「EQ」、感情の知性のコントロールおよび向上を訴える一派など、自らの心をコントロールすることで自己実現を叶えることができる、とする潮流のことで、それぞれの流派の要点を端的にまとめた上で「人格崇拝」「マクドナルド化」という二つのキーワードを用い、心理主義のもつ問題性を浮き彫りにする。それは、人間の人格は何よりも尊重されなければいけない、と教えられながら、その一方で、個々人の感情はどんな時でもコントロールできなければならない、とする教えも学校生活、就職活動時や就業時に絶えず内面化され、それぞれの要求レベルが高くなりつづけるに従ってその矛盾の度合いもますます高くなり、常に互いにラベリングをし続ける上に二つの矛盾する規範を過剰に内面化し続けた末、突発的にキレる人が増えてきた、ということだ。ところで今、2008年の時点でこの本を読んでいて特に印象付けられるのは、第五章「フレキシブルな社会の編成」第六章「合理性の非合理性」で語られている事柄だ。第五章で語られているのは、派遣労働力の導入において心理主義的言説が、経営者・正社員・派遣労働者、それぞれの立場の人々にヘゲモニーとして、絶対命令的ではなく説得的に、反論しがたい意見として果たしている役割で、第六章の中には犯罪報道を補完する形で犯罪心理学者や精神科医の言説が配置され、個々の犯罪者の行動を社会的・経済的・制度的境遇を考慮外、あるいは単純化かつ所与のものとした上で、本人の「心の闇」や家族環境の問題の枠へ収めていく様子が描かれている。上記の二つの例は前半の分析と合わせてとても強い説得性を持っている。心理主義が孕むダブルバインド。本書は2000年に発行されたものだが、本書で解説されている事柄・仕組みはたった今も反復され、また増幅されている。たとえば今年出版された湯浅誠「反貧困」(岩波新書)のなかで指摘されている、貧困層を見舞う「五重の排除」を正当化する言辞が、本書で問題としている心理主義によって強化されていると読むことも出来る。現代社会の基礎知識社会学の1冊だと思う。
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