山田老師は、若い頃、ヒドイ結核にかかって二年間、孤独のうちに過ごした経験のある方です。
つまり、人間の弱さ、無力さも知っています。
そこから強く、立派な人間性を自覚された方ですので、慈悲深い、すなわち
宗教家として一番必要なものをもった方だと言えます。
こういう方は真に得がたい。いくら人を救うと思ってみても自分が本当の意味で
苦しんだことのない人間には他者に愛を、光を与えることは難しい。
本書中にも山田老師が、「人生とはまことに悲しいものである。このことが理解できていない
人はいつまでたっても子供です。」と
述べられていますか、私もその通りだと思います。
禅の精神的内容から、老師の歩んだ道のり、そして、苦しみにぶつかり、
悩み苦しみ勉強しなさいよ、強くなりなさいよとの無文老師の願いが描かれています。
大いなるものに 抱かれあることを けさ吹く風の涼しさにしる
無文老師の有名な文句ですが、この感性は苦悩した人間だからこそのものであると
思いました。思わず泣けてくる、心が洗われます。