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西山氏の問題意識は大人社会に対して子供が受ける軋轢やそれに対する自他、双方向への反発を描くことにあります。以前、出版された『アダルト・チルドレン』では、本来、アルコール依存症の両親によって育てられた人を意味するこの語を用いて、両親から愛情を適切に与えられなかったために大人になり切れなかった大人の問題を描きました。この新造語は子供の立場にある人(年齢は問わない)が抱える心理的な問題がかなりの部分、親の子供に対する接し方に影響を受けているというもっともな指摘をしたものの、ある程度の年齢に達した青年層すらも自分の抱える問題の原因の殆ど全てを親に責任転嫁してしまう、という現象を引き起こした感があります。このことは、若・青年の抱える弱さや苦しさの全て社会や周囲の人間が許容することは不可能だという前提を都合よく無視している気がします(苦しみを抱える若・青年層の気が楽になる効果はあるでしょうが…)。
本書では「自尊心」というキーワードを通じて子供の問題、引いてはそれを生み出した大人を描き出そうとしています。しかし、神戸の連続児童殺傷事件や少年による警官に対する障害と拳銃窃盗事件等における犯人の動機を子供時代に親から受けた愛情や教育のみに求めることは、原因の過剰なクローズアップではないかとの印象が拭えません。これまで社会的に表に出にくかった問題に光を当てたことは間違いなく功績ですが、描かれている若・青年の心情に対する理解は読み手の家庭環境に依存してしまうのではないかと思います。