本書は一般人が自分で種を取り、ネットワークを築くことで、企業を中心とした遺伝子資源の独占と合理化に対する代替案を提案する本です。
現在、農業などで植物を栽培する人の多くが、企業の作った商品としての種子や苗を買っていると思います。本書はそのことに大きな問題があると指摘しています。第一に種の多様性を保持できません。地域ごとに無数にある種を数件の企業ではとてもカバーできず、いきおい全国的、世界的に売れそうな一般的な性質を持った種だけに「合理化」されていきます。第二に、そういった品種は収量は多いが大量の農薬と化学肥料を必要とするために、農家の経営を圧迫し、生態系も破壊してしまいます。その地域にあった種を栽培することがより効果的だと結論しています。
本書の後半では各野菜ごとに生態と種の取り方の解説が載せてあります。かなり充実していると思いますが、もともとオーストラリアで出版された本の翻訳なので、多少違和感を感じる部分もあります。しかし、日本向けに書き加えたりして調整してあるので、問題になるほどではないと思います。
本書はただの種取マニュアルではありません。人々が種を取ることで少しずつ社会を変え、暮らしや人生をより豊かにする、そんな運動を提案する本です。