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12 人中、10人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
とにかく痛快。,
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レビュー対象商品: 自叙伝・日本脱出記 (岩波文庫) (文庫)
少年漫画の主人公のように「男の真ん中」を貫く生き方は、とにかく痛快。あこがれずにはいられない。大正時代に書かれたとは思えないような、現代的でテンポのよい文章も魅力的だ。「自叙伝」ではクライマックス、愛人関係のもつれから刃傷沙汰にいたる経緯を赤裸々に描いた部分がまさに迫真、圧巻である。自分が殺されかかる様をこれだけ克明に記述した文章自体、余り例を見ないのではないだろうか。 「日本脱出記」も当時のフランスのいろいろな意味でのおおらかさが、憧れ半分、侮蔑半分の調子で小気味良く描写されており楽しめる。 本書にはなぜか幽霊やオカルト体験の描写が頻出する。アナーキスト大杉の意外な一面も垣間見えて興味深い。
11 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
自由を求める野生の精神全開で時代をぶっちぎる。,
By ワインドアップバード (滋賀県) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 自叙伝・日本脱出記 (岩波文庫) (文庫)
自叙伝とはいえ、半生記が綴られた青春の記といっていいかもしれない。本編最後に、おや?と思われるような突然添えられたエピソード、いわゆる日陰茶屋事件の顛末は栄、三十一歳の出来事、没年は伊藤野枝と甥と共に皇国主義者に惨殺された三十八歳なので、晩年の逸話は書かれていない。青年期や晩年のアナーキズム思想、社会主義思想、弾圧と闘争、監獄生活、はたまた恋愛の三角、四角関係は実に枚挙に暇がないほど魅力的なエピソードが盛りだくさんであるけれど、この自叙伝は幼少期を、記憶の糸を丹念に手繰り寄せて生き生きと甦らせている。衒いもない、気取ったところもない、文章がことのほか巧みというのでもないが、ただ真率に綴られていくその淡々とした筆致に読み手は吸い込まれてしまう。自分を突き放したシニカルで透き通った眼差しが悲惨な幼少年期の鬱屈した生活をある救いにまで高めている。駄目息子を愛した父と母の情愛の機微もよく描かれているし、栄の自由を希求する野生の精神が至るところに発露しているのが読み取れる。しかしなんと言っても、軍人の家庭に生まれて自ら軍人になりたくてなれなかった挫折をバネにというか反逆として社会主義に目覚めていく件は、この自叙伝の圧巻と言っていい。禁断の真実に触れた青年が熱に浮かされるようにしてアナーキズム思想を貪欲に自らの血肉と化し、また突き動かされていく若き栄の姿に読み手は胸を熱くする。 今こんなこと、誰の頭の中にだって起こり得ないだろう。主義思想など何の関係もない、この火傷するような青春の痛切な魂の懊悩と自由への希求からこそ、いまどきの冷めた大人が学ぶものが無数にあるだろう。 映画やTVドラマにすればいい。絶対できないけどね。悲しいけどそんな肝っ玉のあるプロューサーなんていないだろうね。面白いのになあ。
12 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
偉人伝じゃない異人伝,
By 緊急指令エビフライ (奈良県) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 自叙伝・日本脱出記 (岩波文庫) (文庫)
どこぞの国の昔の大統領やら宗教家やらの伝記ってのは、どうにも説教くさく教訓じみてて読んでて退屈。それに比べてこの大杉栄の自叙伝は、破天荒な生き様がアクセル全開で吐露されていて、血沸き肉踊る。無政府主義なんてこの平成の世の中、なんだか波長のずれたイデオロギーのような扱いだけど、かつてその旗の下に闘争した男のバイブルは、決して一読した者を感銘させないことは無い。
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