損保の矛盾や問題点を経験豊富な実務者の立場から
赤裸々にわかりやすくあぶりだしている点は評価できます。
<おかしな点の事例>
・主婦の休業損害は、5,700円〜9,588円まで幅がある。
つまり、自賠責の基準と最高裁の基準というダブルスタンダードが存在する。
・タクシーやトラックの共済は概して損保以上に査定がきびしく、
多くのケースで、被害者との間で揉める。
つまり、誰にぶつけられるかで査定基準が異なる。
・自賠責の後遺障害等級表は、1936年の工場法施工令によって定められた
「身体障害等級及び障害扶助表」に端を発している。
そんな古い基準が今だに使用されているため、性差別による等級認定が行われている。
<損保と弁護士との共存共栄関係>
普通に考えたら、異なる基準に被害者は振り回され、受け取る賠償金に大きな差が出るのは不公平です。
よって、基準を統一にしてしまえば、少なくとも不公平の問題は解消されます。
しかし、これで困るのは弁護士かもしれません。
自賠責基準・任意保険基準と弁護士基準との間に開きがあるからこそ、
弁護士はその間を埋める役割として仕事を請け負っています。
基準統一・定額填補にすれば、損保と被害者間の交渉も簡素化され、
損保の査定社員の人件費も削減され、ひいては、保険料も安くできると考えられます。
困るのは仕事がなくなる弁護士なのではないでしょうか。
<やりすぎた著者>
著者は本書の中で、
損保の社長と金融庁に直談判して、損保からの1,710円の提示を1,950万円で示談にしたとか、
損保部長が自分のことを知っていたので、示談して3日後に要求どおりの1,620万円が支払われたとか、
交通事故被害者で困っている人にとっては、まさに神のようなアピール談ですが、
損保からすれば、「要注意弁護士」としてマークされていることは確実です。
そして、
第一東京弁護士会は10年12月27日、依頼人の交通事故の後遺症を誇張したとして
、加茂隆康弁護士(61)を業務停止4カ月の懲戒処分としたそうです。