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自分自身への審問 (角川文庫)
 
 

自分自身への審問 (角川文庫) [文庫]

辺見 庸
5つ星のうち 4.9  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

「新たな生のための遺書」。2004年に脳出血、2005年に大腸癌と、ある日突然二重の災厄に見舞われた著者が、入院中に死に見で書きぬいた生と死、国家と戦争、現世への異議、そして自分への「有罪宣告」!

内容(「BOOK」データベースより)

「市場ほど暴力的なものはない。私は、世界市場に民主的な殺戮システムをみている…」経済、思想、人倫の底が抜けたいま、私たちはどこに光明を見いだしうるのか。ひとの恥とはなにか。ひとの“形骸”とはなにか。病を抱えた作家が死に身で書きぬいた「遺書」と見紛う自己内問答。生と死、そして現世と自身への「有罪宣告」。人間と時代の病理を剔抉する透徹した眼。

登録情報

  • 文庫: 237ページ
  • 出版社: 角川書店(角川グループパブリッシング) (2009/6/25)
  • ISBN-10: 4043417101
  • ISBN-13: 978-4043417100
  • 発売日: 2009/6/25
  • 商品の寸法: 14.6 x 10.6 x 1 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.9  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)
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強靭な単独者 2006/3/14
形式:単行本
 辺見庸は脳卒中に倒れ、入院中にガンが発見された。辺見庸の著作に勇気づけられてきた者は、彼の復帰を心から願っていたに違いない。まずは彼が文筆の場に、政治的闘争の場に戻ってきたきたことを心から喜びたいと思う。
 ここ数年の辺見の闘いはほとんど孤独であった。右を見ても左を見ても小泉政権の新自由主義と対米追従に、自らの体を切り刻むように強い異議を唱えていた日本人は現在でも極めて少数である。マスメディアの腐敗も著しい。辺見自身が文筆の場から退場を余儀なくされた間、日本の状況はさらに悪くなったように見える。
 本書では、入院し、脳にも身体にも重篤な病を抱えながら、生死の境目の混濁した思考が一文一文に表現されている。読者に与える印象は極めて重い。
 しかし辺見の立場は、強靭な単独者としての思考は一切変わらなかった。ここまで自らをめぐる状況が悪くなっても、日本の、小泉の欺瞞を突き続けるこの男の前で、私たちは日々のほほんと何をやっているのだろうか?読者は強く自戒せざるを得ない。誰より「審問」されるのは読者自身なのだ。
 辺見は自殺への気持ちも吐露している。私の父も脳梗塞で倒れ、現在療養中である。これほど辛い状況に置かれた人への言葉ではないも知れないが、辺見さん、生き続けてください。そう願わずにはいられない。
このレビューは参考になりましたか?
23 人中、22人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
現代への警鐘 2006/6/24
By ringmoo トップ500レビュアー
形式:単行本
辺見庸という作家については、ジャーナリストで芥川賞作家ということくらいしか知りませんでした。ですから、読んだ作品も「自動起床装置」だけでした。

このほど、この本を手にし、その気迫に圧倒された感じです。その持っているしっかりした考え方もさることながら、脳出血、癌と、普通であればどうしようもなく精神的にまいってしまうような状況の中で、ここまで書く気力があることの凄さを感じます。まさに、何かが憑いているような気さえします。

そんな作者が、自分自身に厳しく「審問」という形で自問自答をする形で、この本は書かれています。

その中で、かつて戦争や様々な「悪」は、「善」と全く切り離されていたと述べています。それが、現代社会の中で、市場や資本の狡猾さが進む中で、その境目がはっきりしなくなり、いつの間にか「悪」に加担していると語っています。そうした「悪」への「責任を無数に分散し薄めさって最後にはきっぱりと揮発させて」しまっていると言います。確かに、言われて見れば、その通りでしょう。いつの間にか、そうなってしまった、というのではいけないでしょう。そうした意識の無さが蔓延している現代への警鐘として、重く受け止めた一冊でした。
このレビューは参考になりましたか?
13 人中、13人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 仮面ライター VINE™ メンバー
形式:単行本|Amazonが確認した購入
  
 2004年から辺見庸を襲った脳出血と結腸癌。続けざまの病魔に見舞われながらも、「人は生きてあるかぎり、どうあっても形骸たりえない。たとえ形骸に酷似していても断じて形骸そのものではない」(本文)という強靱な意志のもと、「復帰」第1作目となるのがこの『自分自身への審問』である。本人の弁では「寸止め」状態ある肉体だが、「辺見節」も筆致も相変わらず冴え渡っており、「まつろわぬ表現者としての矜持」(渡辺創氏,北海道新聞社)は全くもって健在である。今後ともジャーナリステックな眼を持った、“まつろわぬ表現者”としての活躍を大いに期待したい。

 ところで、辺見庸に対しては、様々な「左右」からの批判が存するわけであるが、私の知る代表的な批判的言説をみてみたい。先ず、「右」側では「個人の思い込みや個人の体験から極めて恣意的に一般的な状況認識や原則を導き出す姿勢」などを「批判」するものがある。この“極私的”姿勢の、一体何が問題なのであろうか。このフレーズはそっくりこの御仁に送り返そう。人はおよそ、自分の影から逃れることはできないのだ。蟹は甲羅に似せて穴を掘る―この御仁も私も、そして辺見庸も…。

 次に、「左」側では、新左翼党派の元カードルで、今は一端の文人気取りの男が「政治には1度として責任をもつことなしに『民主主義の不在』」を声高に語って恥じない辺見庸」などと雑言を浴びせかけている。この男にとって「政治」とは、メットにゲバ棒、それに党内遊泳らしかったのだが…。今は「造花の園」(同)といえる文壇の片隅で売文業に勤しむこうした輩に、「物言うな、かさねてきた徒労のかずをかぞえるな」(同)という言詞の意味、さらに辺見庸の“抗い”は永遠に理解できまい。
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