知人に勧められて読んだ一冊。知人によると「19世紀の有名なドイツの哲学者はだいたい『いろいろ考えたけど、生きてるだけですばらしい!!』って結論なんですよ」というなのだが、本書の眼目は、その「生きているだけですばらしい!!」に、哲学者たちがどのような思考の道筋を辿って達したのかを解説することである。
レビュアーは高校時代、社会科教師のいかにもキャラクター的な授業の犠牲者となった(ニーチェ=ニヒリズム! とか、厭世主義=ショーペンハウアー! みたいな)のだが、竹田氏はそのようなあり方について本書で「単なる“学”としての哲学ほど無用なものはない」と厳しく批判している。哲学とはあくまで「自分を知り、生き方を豊かにする」ためのものだというのが竹田氏の一貫した姿勢なのだ。
ただし、他のレビュアーも指摘しているように「哲学を体系的に学びたい人」や「哲学の全体像」を知るための本ではない。本書はレビュアーのように哲学のことを知りたいけど、他にやることはいくらもあるという人向けの「教養書」だ。しかし、そこに書かれているのが単に知識としての哲学ではないということは前述した通り。生きた(ひょっとしたら実生活で役に立つかも知れない)知恵を得るための本に仕上がっている。
ソクラテス、スピノザ、ニーチェ……レビュアーにとって知識の中にしかなかった哲学者たちの思考を、生きた知恵として発見し直す機会を与えてくれた竹田氏と知人に深く感謝したい。