世に溢れる多くの自己啓発書が言っていることのエッセンスは、乱暴を承知で言えば、一語に集約できます。
それは「思考は現実化する」ということ。
この単純な原則をいったいどれだけの説得力と分かりやすさをもって説明できるか、そしてどれだけ実用的な方法論に落とし込めるか、ということが著者達の腕の見せ所なわけですが、本書はその傑出した成功例であると思われます。
著者の「成功のサーボ機構」という喩えは秀逸です。これは、ひとたび「成功している自分」というイメージをありありと脳裏に刻みこむことができたならば、人は自動追尾するミサイルのごとく首尾よく目標を達成できるようになる、いや、達成せざるをえなくなってしまうのだ、という潜在意識の仕組みを実に見事に表現しているのです。
こういう喩えはややもすると機械論的な古い人間観に思われるし、事実を単純化しすぎているようにも見えるわけですが、しかし実用性という観点で言えばこの単純化は本当に“効き”ます。
ひとたび著者の世界観でもって「成功」なるものを省察すれば、色々な論者にこねくりまわされて見通しづらくなった「成功の仕組み」が、実はこれほどシンプルなことだったんだということが、ありありと見て取れるわけです。
そして著者はこのシンプルで見通しの良い方法論を、豊富な実例を持って説得力たっぷりに諭してくれるのです。
残念に思うのは、中・後半(8章から13章あたり)の中だるみでしょうか。
前半部分こそ著者の「サイコサイバネティクス」、「成功のサーボ機構」概念の説明とその使いこなし方の解説に一貫していたわけですが、中盤になるやもうそういったタームとは関係の無い人生指南が始まってしまい、要点がぼやけてしまっている感があります。
もちろん博学な著者ですから、これはこれで良い教えを記してくれているわけですが、だからといって画期的な「サイコサイバネティクス」のパラダイムを霞ませてしまうのは実にもったいないと思った次第です。