「自分をつくる」のは、どこに行っても必ず嫌な奴がいて、理不尽がまかりとおっているという事実に打ちのめされることなく生きていくために、ということか。確かに著者が「反吐が出るほど」嫌う輩はどこにでもいるもので、それゆえ人間関係を理由に転職することは無意味だという結論に達した者にとっては、正気を保って生きていくのに有益な示唆が多分にあった。しかし、「読書術」というネーミングはおかしい。「自分をつくるための推薦本」とでもするべきだろう。また、肝心な情報の欠落も目につく。たとえば、「論理の力をつけるための読書」という章では、「論理は大事である」ということが連綿と語られるのだが、一見筋が通っているようで、その実、論理が破たんしているという具体例を示してほしかった。それには、章末にある推薦本を読め、ということなのかもしれないが、ならば、各章における説明は抽象的に過ぎるということになりかねない。
とはいえ、「読書術」でも「推薦本リスト」でもなく、精神鍛錬のための「個人エッセイ」として読むなら、波長が合う人には(私には合った)十分受け入れられるものである。