「始末の悪い自分に対して過去の私(著者)は何を言ったかを洗い上げられ、集めて並べてみると、厚顔な私もいささか羞恥を感じずにはいられない」と「まえがき」にある。著者の当該テーマについての、過去の「ため息」を集めたものである。従って、各所からの引用が主体となっているため、一貫した流れとしての起承転結とは程遠いように思える。引用の断片毎に、読者が咀嚼し、何かを掴んでいかなくてはならない。
全体に、きっぷのよい語り口が多いが、一貫した起承転結とはならないため、どこから読み始めてもよいのだろう。結論ありきで、それを多面的に述べているのであり、もう少し順番を整理し、面白い全体構成にして欲しかった。
それでも、以下、いくつかの面白い箇所を引用してみよう。
・「自分の始末」の意図するところは、実はたった一つ、できるだけあらゆる面で他人に迷惑をかけずに静かにこの世を終わることである。(まえがき)
・この世は、言語に絶した悪いところでもないが、いつまでも生きていたいと思うほどいいところでもない。(「不純」の大いなる効用)
・内心はどうあろうとも、明るく生きて見せることは、誰にでもできる最後の芸術だ。(「不純」の大いなる効用)
・いい生涯というものは、例外なく強烈だと私は感じた。迷うことなく、使命と思われる道に邁進している。(どうすれば運命を使いこなせるか)
・一口で言えば、老年の仕事はこの孤独に耐えることだ。(「自分の時間」を管理する知恵)