阿部教授のせんせいである上田先生という人が、学生が報告にくるといつも・・・
「それでいったい何が解ったことになるんですか」
とお尋ねになったというエピソードから物語のはじめる本書。
研究を進める上で、どのような着想・史料操作・文献解読が必要だったのかという「歴史学入
門」でありながら、自伝的にその学問研究にどのように入って行ったかを語る「学問入門」
でもある。
一橋大学学長、共立女子大学学長などをお勤めになった阿部氏は、ドイツ中世史の泰斗です
が、なにも『歴史学』に興味がある人だけが参考になるわけではありませんし、『歴史』
に興味がある人だけが興味深いわけでもありません。あえていえば『自分』に興味のある人
に役立つ本だと言えるように思います。
本書の最初の方に出てくる「それでいったい何が解ったことになるんですか」という上田先生
の言葉はそのまま“『学ぶ』ということ、それによって『わかる』ということ。それゆえ『変
わる』ということ”を巡る旅の出発であったわけですし、本書を読む読者も同じ旅の“夢気分”
を追体験することができます。本を読むと筆者の歴史を“追体験”出来るという不思議。
「でありながら、同時に」という共通性と異質性。ドイツ中世史などを概観しながら、ドイツ
留学時のお話などの昔ばなしのなかにあふれるワクワクするような“知”の構造。
本を読んだが、その内容をいまいち覚えていないという人には、本書で、自分の『奥底』に
響かす読書という方法(学問の方法)があるんだということが『わかる』だけでも、十分に
良いリーディングトラベリングになると思いませんか?
-ご参考してくださいまし-
【三考書】
日本という方法―おもかげ・うつろいの文化 (NHKブックス)(:自分のなかに日本の歴史を読む!)
贈与論 新装版(:恐るべきバレンタインデーの「奥底」!)