“工場再建屋”しての著者の経験から示唆するものは、『人は、自ら創意工夫を加えることができ、自ら働きかけられる労働をしてこそ、仕事の喜びや働きがいを感じるものである」ということ。
これは、働くすべての人にとって、一つの共通の思いであろう。
工場のような生産現場であれば、ムダとりの効果が可視化できるため、そのきっかけを与えてやれば、(ある種のゲーム感覚も手伝って)自ら考えはじめ、生産改善につながるという好循環が生み出されるということを、長年の経験から見えてきたのだと思う。
もちろん、ここにたどり着くまでには、「変革を恐れる心理との戦い」、「自ら築き上げてきたものを壊すという苦痛」が伴うが、その苦痛を超えたところに一つの喜びがあるとも主張。
説得力と納得感もあるが、個人的に本書を通じて示唆してもらったのは、これ以上でも以下でもないが、著者のような”再建屋”を絶やしていけないと思う。
一方、今後の組織運営上「自分で考える社員」は必要不可欠な要素の一つだと考えているが、(ホワイトカラーのような)知的生産におけるプロセスの可視化が難しく、効果測定の即時性が難しいものに対して、本書から示唆できるところはないか、ずっと考えている。
ムダとりとは直接関係ないかもしれないが、晴耕雨工、半農半工という1.5次産業化を通じた労働・生活の仕組み会社レベルで見直し、みんなにとってハッピーなワーキングスタイルを模索するという提案は興味深い。(P173「会社の中に村社会を」)