臨死体験について、その研究の始まりから現在の状況まで非常に良くわかるおもしろい読み物だと思います。参考文献もたくさん挙げられていて読んでみたい本がたくさんありました。
ただ、後半の「現実体験説」か「脳内現象説」かを追求していくところの、著者の判断や論考には問題があるように思いました。著者は個人的には「脳内現象説」を信じているそうですが、論考自体にその影響がでてしまっていて、データを公正に判断していないと思いました。「現実体験説」の証拠は異様に厳しく検証するのに、万に一つ起こるかどうかもわからないような「脳内現象説」の説明は簡単に受け入れてしまうのはどうかと思います。
下巻の最後に「現実体験説の様々な矛盾」として、
1.臨死体験に個人差、文化による差がありすぎる。
2.突然場面転換するのはおかしい。
4.まだ生きている人に会うのはおかしい。
などが挙げられていますが、
肉体を離れた魂が経験することを現在の科学の常識で判断して、在り得ないこととするのは無意味だと思います。
また、「脳内現象説」を信じる理由として、「現実体験説は立証が不十分」だからとしていますが、「脳内現象説」は脳の機能自体がまだ謎だらけで「脳内現象説」の立証など全く見通しが立たないことを考えると偏った判断と思わざるを得ません。
これだけ調査に時間をかけて、参考文献も大量に扱っているのに、最後の論考が納得のいくものでなかったのは残念でした。立花氏はライターであって学者ではないので、論考に精密さが欠けるのも仕方がないのかも知れません。週刊誌の読み物として楽しく読めることは間違いありません。全体的には、これから臨死体験関連の文献を読んでみたり、死や人間の存在について考えてみるきっかけになる非常に良い本だと思います。