日本の心理学の教科書は、多人数の共著で知識の断片的なラレツであることが多く、懇切丁寧な教師が断片をつなぐ解説をしてくれないと、ちゃんと理解できなかったし、著者たちの生きた思想などに触れるべくもなかった。日米合作の『行動分析学入門』の著者がネットで「日本でも、ついに、こういう教科書が誕生したのだ」と感慨深げに言っているとおりの本だ。翻訳と有名人一辺倒の日本のお寒い出版事情の中では、本当にめずらしい。一方で、平易な書き方につい引きこまれて読んでしまうというところがある。身近な例がいっぱい出てくるせいもあるだろう。簡単な一般原則が日常の小さな問題にまで当てはまる例が面白い。たしかに難しい部分はあるが、それは、行動心理学がただのペラペラの、表面的な心理学でないからだろう。行動心理学の深いところにまで、全くの初心者をも連れて行ってくれる、読んで楽しい本として推薦したいと思う。この本を難解だと言う人がいるとしたら、その人はペラペラの行動心理学しか知らない人かもしれない。行動心理学は、身近な日常生活行動にかかわり、そして、予想以上に深いのだと感じさせられる。