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臈たしアナベル・リイ総毛立ちつ身まかりつ
 
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臈たしアナベル・リイ総毛立ちつ身まかりつ [単行本]

大江 健三郎
5つ星のうち 3.6  レビューをすべて見る (10件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

かつてチャイルド・ポルノグラフィ疑惑を招いて消えていった一本の映画企画があった。その仲間と美しき国際派女優が30年を経て再び、私の前に現れた。人生の最後に賭ける「おかしな老人」たちの新たなもくろみとは?ポオの美しい詩篇、枕草子、農民蜂起の伝承が破天荒なドラマを彩る、大江健三郎「後期の仕事」の白眉。

登録情報

  • 単行本: 218ページ
  • 出版社: 新潮社 (2007/11)
  • ISBN-10: 4103036192
  • ISBN-13: 978-4103036197
  • 発売日: 2007/11
  • 商品の寸法: 19.2 x 13.2 x 2.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.6  レビューをすべて見る (10件のカスタマーレビュー)
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37 人中、30人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By デルスー VINE™ メンバー
形式:単行本
「最後の小説」になるはずだった『燃えあがる緑の木』の第三部は、
途中まではもっぱら猟奇的な「性」を描いた作品で、
「おいおい、最後なのにこんな内容でいいのか?」とやきもきしながらも、
心のどこかでは妙に納得していたような覚えがあるのだが(笑)、
この作品にいたってはタイトルとカヴァーからして猟奇性全開、
しかも引用されるのが、ポーの『アナベル・リー』とナボコフの『ロリータ』という、
ともに幼女愛の王道を行く作品で、ほとんど阿部和重の向うを張らんばかりの
この不健康さ加減には、「大江さん、やるなー」と思わず感心してしまったのだった。

ポーとナボコフに加えて、おなじみのマルカム・ラウリーからの引用が繰り返されるほか、
クライストの小説に描かれた、16世紀ドイツのコールハースの反乱を、
維新前後の二度にわたる「メイスケさん」の一揆(これについてはむろん、
大江氏のさまざまな作品で繰り返し描かれている)と結びつけ、
そのシナリオを国際派女優サクラ・オギ・マガーシャックの
主演映画に提供しようという筋の流れにも、
率直に惹きつけられるものを感じたのだが、
年老いた作家と、駒場時代の同級生であるプロデューサーの木守、
さらにサクラの3人が勢揃いして、さあこれからと思い始めたところで、
唐突に打ち切られるように物語そのものが終ってしまうことには、
最後で肩透かしを食ったような物足りなさを覚えた。

『懐かしい年への手紙』なみに劇的な結末を予想していたせいもあるが、
本文中に再三差し挟まれる引用はいいとして、
結末近くになっても相変わらず引用ばかりが続くというのでは、
それがいかに優れた眼識を感じさせるものであっても、
結局は満足いく結末を考え出すことができないまま、
他人の作品に丸投げしているかのように、どうしても感じられてしまうのだ。
(そういう意味では、『憂い顔の童子』の結末にも同じ不満を覚えた。)
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11 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
からみつく 2008/2/15
By sandroc
形式:単行本
例によって、虚実皮膜の語り方で、奇妙な物語が展開される。
全体のモチーフは、グロテスクな児童ポルノであるところの「アナベル・リイ映画」。
冒頭から子供の扮装をして失敗したかのような白塗りの小さな年寄り(木守)が出てきて、
話の気持ち悪さを彷彿とさせる。
著者の筆は、生々しい。物語は、若いとき、中年時代、老年期に分けて語られるが、
若いときの瑞々しさがあるぶん、ヒロインのサクラや木守の老け方の生々しさが際だつ。
サクラ、木守は何年もある映画(の製作)に取り憑かれている。
その映画は、ある種、神話的・呪術的な雰囲気を持つものだが、
それが彼らの独特な歳の取り方とともにだんだんと発酵していき、
最後には何とも「森」的というか、独特に力のある演出にたどりつく。
著者ならではのねばっちこい空気がからみついてくるような読書となった。
サクラの「アーアー」というこれまた著者らしいおかしな表記の声が、印象に残った。
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10 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By パタ
形式:単行本
30年前の筆者も友人たちも情熱を持ち、まだ先があるものとして仕事に対し意欲的に
臨んでいたその当時に、チャレンジした映画作成。
中世の反乱を描いたコールハースの反乱とそれにまつわる夫人とジプシーの運命的な
寓話を、かたや四国の森の中で起きた村の一揆と女性達の芝居に対してテーマの共通性を
見出し、ひとつの作品に仕上げていこうとする軸がひとつ。
かたやポーの詩と主演予定であるサクラの幼少の時の体験からくるロリータ的性的錯綜の
傷という軸が交差していく。

複数の要素を織り成しながらくみ上げていく作品を読むには知的好奇心と読書の喜びを感じる。
だが、これまた性的錯綜の事件の上に頓挫してしまった映画制作を70歳を過ぎ、ひとりは
既に病気をしている彼らが、30年前とは異なる出口に向かっているという気持ちで今度こそ
実現していこうとする。
そしてその途中で唐突に終了してしまうのだ、これが。

この先のことは我々でどうとでも考えるようにとの示唆であろうか。
それでもいいけれども、やはりもう少し続けて欲しかった。
ここで終わる意味を考えてしまう、作品である。
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