中国を理解するキーワードは、共産党による一党独裁と資本主義の矛盾を抱えた急成長、ということに尽きよう。
本書によれば、共産党の独裁で、すべての政策判断において党内ポリティクスが優先する中国の政策は不透明、不公正で、こうした中で急速に進む経済成長は大きな社会的歪みを生み出して爆発寸前だという。
中国は、開放改革路線に転じる際に社会主義型資本主義を宣言した。この言葉は一見奇異な感じを与えるが、よく考えるとそれ自体は例がないことはない。欧州各国では民主社会党が与党となっている国が多く、その意味では社会主義型資本主義だし、なによりも日本の資本主義は中央政府が中長期の経済政策を計画として定めるという典型的な社会主義型資本主義である。おそらくは、世界でもっとも成功した社会主義と言っても過言ではない。
共産党による一党独裁といっても、自民党から政権交換が起こらない日本だって大同小異だし、雇用を第一に終身雇用をコミットしてきた日本の大企業と中国の国営企業の何処が違うのか。それほど明確に答えられないのではないだろうか。
また厳しい検閲により言論統制されている中国というのも、少数の系列化されたマスコミに意見操作されてきた日本の実情と大差ないとも言えよう。冷静に中国の現状を日本の過去、現在と比べてみると、逆に日本の辿ってきた道が見えるような気がする。
しかし、さすがに新聞社が取材に基づいてまとめただけあって、数多くの事実によって積み上げられた迫力は十分である。