私が尊崇する天才・伊藤裕教授(慶大医)の一般向け2作目に当たる新作。
今回は、発生学的に最初に誕生してくる器官『腸』にスポットライトを当てた作品である。
太古の昔(20数億年前)に細胞内(すなわち体内)に取り入れた細菌・ミトコンドリアと
腸の中(こちらは体外)に共生する何十兆個という腸内細菌叢。
この二つの共生者が健康長寿には欠かせないと、その重要性を見事なまでに描き切っている。
そして帯には大腸癌から生還した鳥越俊太郎氏が登場しており、これまた実に的を得た起用と言える。
最初の方の「ヒトは骨で育った」の章(27p)で、
島泰三氏の『親指はなぜ太いのか』を引用している所は流石である。
伊藤教授もヒト本来のニッチを骨・骨髄と考えておられるようである。
曰く、
・快便になる食事のタイミングを見つけ出せ。
・見つけた「オレ流」の食事時間を頑固に毎日守れ。
・食事に合わせて仕事をする位の気構えを持て。
教授は今注目の時間医学にも言及するのだ。
確かに百寿者は十年一日の如く毎日同じサイクルを繰り返す。
前作からのご主張では有るが、
「身体を鍛える」とは「ミトコンドリアを鍛える」という事。
それには、
・チョッときつめの運動。
・腹八分:チョッとお腹が空いている位をキープ。
もう耳にタコができている(笑)。
今回は是に加えて、
・インスリンが利き過ぎると寿命が縮まる。(133p)
・肥満した方は糖質を控えた方が良い。(135p、157p)
・グレリン、胆汁酸、ANP、サーチュインこれらは全て、ミトコンドリアを増やして細胞を元気にする。
と断言する。
最後の方(第9章)では、CRとIFにもきっちり触れられているが、
CR(カロリー制限)に関しては、感染症との問題を今後慎重に検討すべきとしているし、
IF(間歇的断食)に至っては、ハイリスク・ハイリターン。今後の検討課題としている。
慎重居士の伊藤教授らしい。教授は飽く迄も慎重である。
健康長寿を目差す全ての方にお薦め出来る会心作である。
この際、前作『臓器は若返る-メタボリックドミノの真実』、
島泰三氏の『親指はなぜ太いのか』、
釜池豊秋先生の『糖質ゼロの健康法』、
そして浜崎智仁教授の『コレステロール値が高いほうがずっと長生きできる』
も併せて読まれん事をお勧めする。