脳腫瘍の新WHO分類に併せて改訂された定番のカラーアトラスである.脳神経外科の専門医を目指す人にとっては必須の知識なのであろう.主要な項目の執筆者が病理医ではなく,脳神経外科医で占められいることからもその意図が伺える.脳腫瘍は多彩なので,亜型によっては1ページに内容が集約されているのは仕方ないかもしれない.しかし,日常遭遇する機会も多く形態的にも多彩な膠芽腫や退形成性星細胞腫,オリゴ系腫瘍,髄膜腫により多くのページ数を割いてもよかったのではないか?多人数による共著のスタイルのため,校正不備の部分があったり.実際の診断の役に立ちそうにない電子顕微鏡写真などが多数盛り込まれている点は不満である(監修者の趣味か?).中里先生の免疫組織化学のサマリーは有益であった.欲を言えばMIB-1標識のカウント法や迅速診断のときの報告のスタイルなどを紹介してもらえると助かった.
この分野はもはや脳腫瘍を専門とする病理医の独壇場であるので,ふだん顕微鏡を見慣れていない脳神経外科医による解説には限界があろう.稀少例が多数収載されているのだから,新進気鋭の病理医にもう少し重要な部分の執筆を委ねてもよかったような気がする.病理医はWHO blue bookやAFIPを丹念に読み込んだほうが賢明かもしれない.厳しく査定したが脳神経外科医には必携のアトラスである.写真の質は上々である.