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谷崎潤一郎に心酔し、残酷に主人公を痛めつける「おまへさま」と、愛しているがゆえに逆らう事はおろか、自分の身を捧げてつくしてしまう主人公の「私」。二人の歪みきった関係を恋文のなかで振りかえっていくというストーリー展開は読者を虜にしていき、一気にクライマックスへと導きます。
残酷なのに美しく、しびれるような甘さの谷崎の描き出した世界を頼りに始まったはずの二人の遊戯が、だんだんエスカレートしていき、谷崎的世界とは別物に進化していく様は圧巻です。谷崎的世界から、人間のエゴと情念の入り混じった生々しい匂いが漂う世界にシフトしていく二人の関係は、かえってリアルに胸に響きました。 面白かったです。
収録されている「カタカナ三十九字の遺書」も、常人には理解できない愛情も当人にとっては何物にも変えられないという、もう一つの表現ではないでしょうか。
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