突然、脳出血で倒れ、左半身麻痺になってしまった45歳独身の弟。
動揺の中、どういう病か・脳溢血との違いは・どんな治療をするのか・後遺症は・リハビリは・社会復帰は可能なのか・・・
わからないことだらけで、手当たり次第に読んだ闘病記の中の一冊です。
53歳で脳出血となり、右半身麻痺と失語症になってしまった大学教授とその奥様の、発病から復職までの闘病記と、
脳卒中患者をとりまく社会状況及び医療体制への問題提起で構成されています。
闘病記は、それぞれの立場から書かれており、とても参考になりました。
特に、回復の過程が細かく記述されているので、弟の状態と照らし合わせることが出来て、希望が持てました。
奥様の気持ちの揺れもとても共感でき、介護する立場の私にとって、助言となり、励まされました。
また、闘病記にとどまることなく、脳卒中が高齢者だけの病気ではなくなっていて、働き盛りの人々に増えている現実とその背景をリポート。
さらに、すでに高齢化社会に突入している日本において、患者数が増えることは火を見るより明らかなこと。
この病気は、回復までに、脳神経外科・内科・心療内科・リハビリ科・医療ソーシャルワーカー・理学療法士・作業療法士・言語療法士・セラピスト等々、
様々な診療科を渡り歩かなければならず、その連携はほとんど取れていないのが現実であること。
ゆえに、トータルでケアしていく「脳卒中科」の設置を早急に行わないと、
回復できる機能を呼び覚ませないままになってしまう患者が激増してしまうと言及しています。
本当にその通りです。救急で運び込まれた病院を退院すると決まって喜んだのも束の間、
後遺症が比較的軽かったがゆえに、リハビリ専門の病院に転院することが出来ず、
通院でリハビリを行ってくれる病院が自宅から通える範囲になかなか見つからず、私たちも途方にくれたからです。
大学病院に限らず、地域の基幹病院、救急指定病院に「脳卒中科」が設置されることを願って、
医療関係者の方々にもぜひ読んで頂きたい本です。