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天才志向もこの著者の特徴だ。p154あたりから、科学は凡庸な営みであるからこそ偉大なのだという「メタ認知」への覚醒が大仰に語られる。そんなこと40過ぎまで分からなかったのかという感じだが、それはいい。問題は、そう言いつつ、著者が語ることがいつもブレークスルーであり、新しい地平であり、デカルトやニュートンやアインシュタインが成し遂げたような知の革命を脳科学にもたらすことである点なのだ。また「小さな神の視点」だの「ホムンクルスの復権」だの、ネーミングがいちいち大げさで、ケレン味たっぷりで、わざと誤解を誘うようなもの。
しかし、茂木の本では、ブレークスルーは決して「訪れない」。新しい地平の必要性の訴えはあっても、地平は「拓けない」。そこにあるのはいつも見せ金であり、煽動でしかない。
今回の本でも、クオリアやメタ認知を機能主義的にでなく解明することこそが最重要課題と言って読者を引っ張りながら、巻末近くにいってバタバタと機能主義的説明に収束していく。ホムンクルス論も所詮は、機能主義的説明の少々の複雑化としか見えない。第1原理の解明はまだ時期尚早だからだそうだが、だったらこんな巻末近くまで引っ張るなよ、と言いたい。
付け加えておくが、茂木の議論はさまざまな哲学談義のごった煮になっている。しかもその混ぜ具合は繊細さを欠き、背後にある古臭い主客図式や主知主義が透けて見える。帯で養老が「今世紀の重要な一冊」などと書いているのは、本気か?
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