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脳内ニーチェ
 
 

脳内ニーチェ [単行本]

適菜 収
5つ星のうち 3.5  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

オレは死んだ。「神は死んだ」どころの騒ぎじゃないよ――新興宗教にハマってしまった元同級生に呼び出された、ごくごく普通の営業マン、31歳・現在婚活中のオレ。震災後の日本を救うために力を貸してほしい、大哲学者ニーチェの「授業」を受けてほしい、と頼まれるが……。現在日本が抱える問題点をニーチェが読み解き、読み手の意識と生き方を変える、笑いながら学べる哲学小説第2弾。

内容(「BOOK」データベースより)

「お前は生を選ぶのか?生の否定を選ぶのか?それともこれまで通り、すべてを先送りにするのかね?」夢はとうの昔に捨てた。転職は30歳で諦めた。現在婚活中(見込みなし)。そんなオレの前に、突然、ニーチェが降りてきた。ニッポンの「神は死んだ」。3・11後に降臨したニーチェが教える日本の未来とは?抜群に面白くてわかりやすい哲学小説。

登録情報

  • 単行本: 208ページ
  • 出版社: 朝日新聞出版 (2011/12/7)
  • ISBN-10: 4022509198
  • ISBN-13: 978-4022509192
  • 発売日: 2011/12/7
  • 商品の寸法: 19.1 x 13.4 x 2.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.5  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
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形式:単行本
本書『脳内ニーチェ』は、ニーチェ晩年の名著「アンチ・クリスト」の超訳で名を上げられた適菜収による、「ニーチェ」を出しにして書かれたライトノベル?である。適菜氏は、ご自身の「脳内」で解釈したニーチェの教説を介して、世界のしくみを暴露しつつ、病んでいる現代日本に切り込みをかける。

お話はといえば、ニーチェが現代日本に降臨/憑依 して、講釈/説法をするといったSF仕立てのもの。小説としてはあまりに面白くないが、ニーチェの思想がきわめてあっさりと敷衍・祖述されているので、ポップな思想系の読み物としてならそこそこ楽しめよう。

書かれ方は軽妙なテンポ、あるいはいささか躁病気味のノリで、多少通俗に堕してはいるものの、かといって断じて下品ではない。

西欧精神史における「負の遺産」を舌鋒鋭く追及しているところは実に痛快である。

適菜氏経由のニーチェの弁をいくつか紹介しようじゃないか。これはあくまで評者である私のチェリーピッキングだが。

「プラトンが歴史に毒をもったのだ。プラトンが神を歪めたのである。プラトンの詐欺の構造を利用したのがキリスト教の開祖パウロであり、キリスト教を原理主義化したルターであり、偽装キリスト教開祖のルソーである」p90

「パウロだ。イエスとは正反対の考え方をもつ男だ。キリスト教には、イエスの教えはなにも残っていない。あれは下層民の呪いが集約された邪教なんだ」p109

「プラトンは神の姿を改変した。パウロはそこに≪善のみの神≫≪不健康な神≫を押し込んだ。ルターはその原理主義化を進め、神と直通の回路を開いた。ルターはその原理を近代イデオロギーに仕立て上げた。彼ら僧侶階級は、≪神≫を独占することで世界を支配してきた。民族の神は姿を消し、一面的な神が世界を闊歩するようになった。こうしてオレたちは≪病気≫になった」p180

いかがであろうか。著者はニーチェの思想を援用しながら、西欧の精神的根幹であったプラトニズム(プラトン)とその≪大衆版≫であるキリスト教(パウロ)、プロテスタンティズム(ルター)、そしてそれらをルーツとしてもつ民主主義(ルソー)や社会主義の成り立ち、システムを、もののみごとに炙り出している。一神教にせよ社会主義にせよ、抑圧→革命→復讐という点では似た構造を有してはいないか。異論・反論の余地はいくらでもあろうが、私は浅学の身分でありながらも、上の見解を「諒」としたい。

あとニーチェの「超人」思想であるが、あれほど厄介なものもあるまい。「超人」というものを「社会的強者とか肉体的強者と捉えるのは間違い(略)。超人は、聖者でも天才でも英雄でもない。そもそも一般庶民が目指すべきようなものではない」p170。にもかかわらずそう思い込んで、そのようにふるまう人が結構いるから困る。超人というのは「既成の価値に頼らず、ニヒリズムに耐え、健全で、復讐感情から解放され、おのれの価値基準に則り生きる者」p171と、さしあたり著者は定義している。私もそのように解釈したい。

知的にも精神的にも未熟な人がニーチェなどを読んだ場合、変に昂揚感を覚え、偉くなったような錯覚を起こし、他者に不遜な態度をとる。そういう事例が少なくない。

本書はニーチェを適当に薄め、おもしろおかしく啓蒙している。
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形式:単行本
 同著者の小説処女作『いたこニーチェ』は文庫化されているくらいなので結構売れたのであろう。確かに、ポップな文体と時代に即した設定が利いた好著ではあったと思う。私もアマゾンレビューでは高評価を書いた記憶がある。

 で、小説二作目の本書だが、良くも悪しくも「二匹目のどじょう」狙いですな。文体、設定とも前作同様ポップで勢いがあり好感は持てる。が、あまりに設定が似すぎていてどうも既視感orマンネリ感がある。

 前作の語り手である吉田がニーチェ思想の伝道者として登場するからには、恐らく続編であろう。が、ストーリーが前作の繰り返しなのである。いわば『いたこニーチェVer.2』といったところで、どちらか一作読めば充分って気がする。

 昨年の東日本大震災が、場面設定として導入されている辺りが違いだが、前作を読んだ私にとってはインパクトが薄い読書となったことは否めない。

 適菜さん、あなた文才はあるんだから、また違ったテーマで書いてよね!
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