とてもいい映画です。
しかし!本当にいい映画なのに、
日本の配給会社の、この映画の売り方には大いに問題あり、かなりヒドイです。
ポスター、チラシ、DVDのパッケージのキー・ビジュアルや
あらすじの紹介文などなど…これをみたらほとんどの人が(そしていままでのスパイク・ジョーンズ/カウフマン作品に親しんでいる人ほど)コメディだと思うでしょう。
そう思って観てみたら内容が全然違うのでついていけなかったという人、かなり沢山いるんじゃないでしょうか。そのせいで、不当に評価が低くなっている気がします。
たぶん、いままでのカウフマンやS・ジョーンズ関連の作品のファンへのアピールを狙ってのことだと思いますが…これはほんとにヒドイ。作品の内容をきちんと尊重するべきです。「あらすじ」の文にいたっては、内容も間違っている(主人公ケイデンが人生をかけて作ろうとしたのは、『理想のニューヨーク』などでは全然ありません)!!
この映画を普通に理解さえできていない人が、宣伝なんかしてはダメでしょう。
文句つけるのはこれぐらいにして…。
カウフマンがこれまで書いてきたものにはどれも(たとえそれがコメディでも)、悲しみや不安・孤独などを含んだつかみどころのない(でもとても本質的な)人生のやりきれなさと、それに傷つき、時に怒り、そして(ほぼ勝ち目がないとどこかで知りながら、それでも)抵抗しようとする人間の姿が描かれていると思います。
で、この映画は、そのカウフマンのストーリーに共通してきた重要な隠れテーマ(?)を初めて全面的に押し出したものだと思います。上に書いたような理由でコメディだと思い込んで観始めたので、前半はとても重苦しく「しんどい」映画だなあと感じましたが次第に引き込まれ、観終わった後には深く、いい意味で重い余韻がずっしりと残りました。
もしかすると、若い人の中には「分からない」という人がおられるかもしれません。
しかしこれは(勝手な想像ですが)カウフマンが、自分が監督するということで、ずっと大切にしてきた切実なテーマ(劇中劇の牧師の「語り」が、最もわかりやすくそれを訴えています)と真正面から取組んだ、渾身の傑作だと言っていいと思います。
けっして気楽に観られる作品ではありませんが、何度も観たくなる映画です。