より賢くなりたいというのはだれもが抱く思いであるが、著者はその実現のためには、自分の脳の働きやメカニズムを知ることが先決だとしている。そして「脳は、無限の接続によって構築されたネットワークである」「知性を高めるには、ニューロンの接続をできるだけ生み出すことが必要」「いくら年をとっても脳の機能を高めることができる」などのメカニズムを説き明かしている。まず、自分の脳を知ることでそれをコントロールし、最も効率よく働かせようというのが本書のベースになる考え方である。
トレーニングは、図表を使うもの、思考やイメージで行うもの、身体を使うものなどさまざまで、テーマも「脳全体を刺激する」という直接的なものから、記憶力、連想力、集中力、論理力といった特定の能力を高めるもの、思考を前向きにするといった自己啓発的なものまでじつに多彩である。たとえば「注意力と集中力を強化する」では、時計を見ずに短い時間の経過を言い当てる方法や、ドイツ空軍パイロットの訓練用に開発された「文字探しテスト」などを紹介している。その場ですぐに取り組めるものが多いのはうれしいところだ。
なかでも、「急ぎ病」や「情報過多」によるストレスの解消など、現代人特有の精神面の問題を多く取り上げている点は必見。「思考速度を遅くする」「自分自身の考えや行動を指図するような感情は捨てる」「心理過程の考察で感情を立て直す」などは、仕事で壁にぶつかったときのよきアドバイスになるだろう。また、創造性やインスピレーションのテーマからは、創作活動のヒントが得られるはずだ。
本書全体には、脳を最もよく働かせることでよりよく生きることができる、という強いメッセージが流れている。人生の可能性を広げてくれること請け合いである。(棚上 勉)
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でも、読んでみると、ただ単に28章あるということだけで、脳のトレーニング方法にいたっては、具体的な方法はほとんど載せられていません。タイトルはちゃんと内容を反映してものをつけてもらいたいものです。
また、14章 感情をコントロールする、18章 論理力を鍛える、19章 不確実性に耐える、についてはトレーニングノウハウが明確でなく、具体的なトレーニング法については何も説明されていません。
ただこれらを抜かした、総合的な評価としては星は4つつけてもよいと思っています。なぜなら、多くの脳のトレーニング本がある中で、この本は上の3つの章と、はじめの1章・2章の章を除いては具体的なトレーニング法を書いており、どれも新鮮であるからです。
読者は読み終わったらまずこの本の要点を書き出して、それから実践に移るという過程が必要になるでしょう。
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