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15 人中、11人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
タイトルはなかなか詩的であるが、なかみはどうして、正攻法に意識を説明する著者の持論を展開した本。,
By patella (千葉県) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 脳は空より広いか―「私」という現象を考える (単行本)
著者は1972年に「免疫抗体の化学的構造に関する研究」でノーベル医学・生理学賞した科学者。その後研究対象を変え、脳科学に進化論の視点を導入、1987年には「神経細胞群選択説(TNGS)=神経ダーウィニズム」を提唱した。この本ではこの説に1998年に提出した 「ダイナミック・コア」仮説を加えて著者の説が説明される。TNGSで説明がつく、で全篇まとめてあり、他の仮説等の紹介や反証、実証的な実験結果などにはあまり触れていないので、完結でまとまりは良いが、「一方的」な感じは否めない。しかし、著者の持論を知るには簡潔で良い。訳者あとがきにもあるとおり著者の仮説は概観的で柔軟な仮説なので、最近一般向けの本も増えた脳科学系の研究の位置関係などを見通すてがかりにもなる。 一般向けに読みやすくしようとするような余計なたとえ話もなく、まっすぐに主題を追いかけていく文章は、とはいっても難しい言葉をできるだけさけ、簡潔でわかりやすい。特殊な用語の説明はかなりのページ数を使って巻末にまとめてあるのも良い工夫である。 簡単な図だけを使った説明は、脳の中で情報がどのように巡り、影響しあっているか、ダイナミックなイメージを読んでいくうちに作り出してくれる。「幾つかの部分の活動が重なり合い、変化しながら全体では一つの状態を保っている」というダイナミック・コアのイメージは意識だけでなく、生物種や文化など、さまざまなものに活用できそうである。こんなところにも著者の仮説の柔軟さ、広範さが感じられる。 気になったのは、何箇所か「コンピュータではできない」とか「(「私という現象」は)これからも変わることなく、自然からの最高の授かりもの」という言及がみられること。著者は「すべて物理法則で説明できる」ことを前提に論を進めているはずなのだが、どこかまだ「機械は人間のようにはなれない」「人間が最高である」という呪縛からは逃れ切れていない。著者ほどの人でも、なかなかこういった考えから自由にはなりきれないのであろうか。 表題はエミリ・ディキンスンの詩からとられている。「脳は空よりも広い/ ほら、二つを並べてごらん/ 脳は空をやすやすと容れてしまう/ そして あなたまでをも」で始まるこの詩は本書の内容とそれほど深くかかわっているようには思えないが、著者も書くように、19世紀に脳(精神や心ではなく)をこのように捉えていた人間がいたことに気付かせてくれたことだけでも、本書に取り上げられた意味は深いと思う。この詩の最後では「神と脳」を比べている。どんな風に言っているのか、興味があれば是非一読を。
7 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
心身問題への応用の幅の広い解答、「ダイナミック・コア仮説」,
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レビュー対象商品: 脳は空より広いか―「私」という現象を考える (単行本)
ノーベル賞学者エーデルマンの長年の脳と意識についての持論をまとめた本。それほど分厚くはないが、中身は濃い。 彼の論、「ダイナミック・コア」説を簡単にまとめると 「主に(すべてではない)視床ー皮質系の内部で、再入力によってダイナミックに変動しながら相互作用するこの機能クラスターを「ダイナミック・コア」と呼ぶ」(p90) ということだ。 そしてこれが、意識にほかならない、としている。 ダイナミック・コアは、部分部分は順次変化し続けるが、全体は統一されているという意識の性質を満たしている。 我々が現象的に感じる「あの感覚」は、ダイナミック・コアにほかならないが、より高次の観点からみたものである。 そのため、物理的な手法で、現象的な「あの感覚」を直接に説明することは出来ない。 科学者は意識の機能を説明するまでだ。 彼の論は、心の哲学でいけばサールやチャーマーズあたりとよく整合すると言えるだろう。 意識は脳状態にほかならないが、三人称的手法ではとりこぼすというのは、まさしくサールの生物学的自然主義にほかならない。 意識をより高次な視点、とするのも、サールの考え方と合致する。 また、意識と脳とを非還元的な付随という関係で捉えるのは、チャーマーズの手法と似通っている。 なお、エーデルマンは哲学的ゾンビを不可能だとしているが、それはエーデルマンが論ずる地平が自然的な付随だからである。チャーマーズのいう哲学的ゾンビの可能性は、論理的な付随に対する反論だから、この二者は矛盾ではない。 心の哲学の見解ともかなり整合的で、また妥当性の高い仮説だといえよう。 また、細かい点については深める余地がかなり幅広くあり、そういう意味では脳科学的には応用の幅も広く残されているといえよう。
6 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
脳、この深遠なるもの,
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レビュー対象商品: 脳は空より広いか―「私」という現象を考える (単行本)
大学生の時、医学部の先輩に読んでもらって、人の脳の解剖を見学させてもらったことがあります。本物の脳です。献体で使わせていただいた脳でした。 それ以来、脳には興味を持ち続けていました。 最近、仕事でWeb集合知関連のことに、首を突っ込むようになり、 あらためて、知覚、記憶、意識の関係性が気になりだし、近所の公立図書館で、本書を見つけました。 驚きでした。 脳機能説というか、ある特定の部位が、特定の機能を担っていると、 理解していたのですが、脳の働きは、もっとダイナミックであり、 視床、中脳、大脳が、影響し合い、フィードバックをかける関係にあること、 そのなかで、人の意識、クリオネも発現してくるらしいと、理解しました。 脳は、コンピュータとは、まったくちがう、論理で働いている、生体システムであることを発見できました。 それ以来、脳と、脊髄と、末梢神経系の関係、解剖学的配置に興味が広がり、 解剖学の書棚で本を探す時間が増えてきました。 みなさん、是非、一読をオススメします。
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