脳は素晴らしい。なぜニューロンの回路に意識が宿り、様々な英知を生み出すのか。しかしその一方で、脳はうぬぼれ屋、感情的、モラルはなく、騙されやすく、頑固もので、無意識に何かをしでかし、意志薄弱で偏見まみれである、ということをユーモアを交えて記述した楽しい本。
どの章にも、数々の心理学実験の実例が紹介されており、心理学者達の悪辣な実験に驚くばかり。よくもまあこんな実験を思いつき、実験するものだ。有名なものでは、ランダムに選んだ子供の名前を挙げ、今後成績が伸びる可能性があるという知能検査の結果が出た、と教師に伝えるものだ。すると、なぜかその子供達の成績は明らかに伸びるという。
嫌われていると指摘された学生の被験者はその後の作業に師匠をきたし、老人をイメージする文章を作った被験者は帰りの足取りが重くなるという。
しかし、おバカゆえに良い面もある。脳はうぬぼれ屋だから、誰もが自分は平均以上だと思っている。統計上そんなことはありえないのだが。しかし、平均以上だとうぬぼれているから、困難な仕事にも挑戦する。逆に駄目だと思っていると成果は上がらないどころか精神的に病む場合もある。
大切な目標のために実行すべきことを具体的に書きだせば、なぜか無意識的に実行する確率が高い。無意識に善行や偏見を打ち消すことを埋め込んでしまえば、良い習慣を身につけ、本当に偏見を消すことができる。
理性よりも感情で物事を決めるのなら、感情に訴えるのもよい手だ。他人にも自分にも。