前作「いち・たす・いち」で述べた「すべての人に理解されること」を念頭に置いた著者の目的意識に感銘を覚えた読者の一人である。語学に習熟していても歴史を知らなければ、それは子供のまま人生を終えるに等しい。現代社会は、学際的な知識を要請してはいるのだが、巷に数多く見られる素人向けの本の多くは、論理に飛躍が多く本離れを促すだけの駄本である。論理に飛躍が多いのは、時間やページ数の制約にあるのではなく、実のところ真の力量をもった専門家が少ないからではないだろうか?素人の立場にたつということは、自分の欠点をもさらけ出す訳で、専門家が専門用語の陰に隠れて陽の当たる場所に出てこない理由もここにある。脳については、常々興味を持っていたのだが、お金を払って自分の時間を使って読もうという本にはなかなか出会えなかった・・・・この本は、本当に素晴らしい。針の先っぽに、何人の天使がのることができるのか?をまじめに考えている現代の専門家たちへの偉大なるアンチ・テーゼである。